食品会社の社長にとって、新しい販路の開拓は永遠の課題です。
「うちの商品なら必ず売れる」と信じていても、バイヤーの反応が鈍い。
そんな経験をした社長は少なくありません。
バイヤーが新商品をいきなり「定番棚」に入れないのには、明確な理由があります。
売れ残れば店舗側が在庫を抱え、損失リスクが発生するからです。
どんなに魅力的な商品でも、売れる根拠がなければ採用は難しい。
バイヤーは感情では動きません。データと実績を見ています。
では、自社の商品をどうすれば定番棚に並べてもらえるのか。
その最短ルートこそが「催事出店」です。
催事は単なる一時販売ではない
「催事は単発だから意味がない」と思っているなら、それは誤解です。
催事は、将来的に定番化するための実績づくりの場です。
百貨店やスーパーのバイヤーは、催事での販売結果を重視します。
売上データ・お客様の反応・客層分析など、すべてが採用判断の材料になります。
バイヤーが催事で注目するポイント
- 売上実績と回転率
短期間でどれだけ売れたか、どのくらいのスピードで商品が動いたか。
催事の数字は、バイヤーにとって最も信頼できる指標になります。 - お客様の反応
試食のときの表情、購入までの流れ、会話の内容。
リアルな反応を通じて、商品がどれだけ受け入れられているかを確認します。 - 客層の傾向
どんな年代が買っているのか、男女比はどうか、リピーターは出ているか。
催事はターゲット層を具体的に把握できる機会です。 - 競合との比較
同じ会場に出ている他社と比べてどうか。
デザイン、価格、味、接客、売場演出など総合的に見られます。
催事での結果は「この商品は市場で通用する」という実証データとなり、
バイヤーが安心して導入判断を下す材料になります。
催事のもう一つの価値:お客様の「生の声」
催事の最大の魅力は、現場でお客様と直接話せることです。
製造や卸中心のビジネスでは得られないリアルな反応が聞けます。
・味や食感への率直な感想
「美味しい」「こういう味を探していた」といった声は、次の開発のヒントになります。
・改善のアイデア
「もう少し小さいサイズがほしい」「塩分控えめだとうれしい」など、
現場の意見には具体的な改善点が含まれています。
・作り手の想いを伝える場
原料や製法、地域への思いを直接語ることで、商品が「物語のある一品」になります。
お客様が共感すれば、再購入へつながります。
・信頼関係の構築
顔を合わせて話すからこそ、お客様が「またあなたから買いたい」と思う。
その瞬間がファンづくりの始まりです。
継続出店で信頼を積み上げる
催事は一度で終わらせず、続けることで効果を発揮します。
定期的に出店していると、リピーターが確実に増えていきます。
「この前の漬物、また買いに来たのよ」
「前回のパン、美味しかったから探してた」
そんなお客様が現れ始めたら、それは御社が地域で“ファンを持つブランド”になった証拠です。
継続出店には次のようなメリットがあります。
・顧客基盤の安定化
リピーターがつくと、安定した売上が見込めます。
・口コミ効果
ファンが自発的にSNSで発信したり、友人に紹介したりしてくれます。
・バイヤーへの説得力
「リピーターが生まれている商品」という事実は、定番化の最大の武器になります。
さらに、催事を通じて社内の営業力も磨かれます。
現場での接客経験は、社員の言葉選びや伝え方を変えます。
商品説明の精度が上がり、社内の営業文化が育っていくのです。
短期ではなく長期の視点で考える
催事を「売上のイベント」として見ると失敗します。
本来の目的は「定番化への布石」であり、「ファンづくりの現場」です。
利益計算だけで判断せず、次の5つの視点で評価してください。
- 新規顧客の獲得数
- リピーターの割合
- お客様からの具体的な意見
- バイヤーとの新たな接点
- ブランド認知の向上
この5つが動き出すと、販路開拓が一気に加速します。
催事は商品を試す場であり、会社を磨く場でもあります。
目先の数字ではなく、成長のプロセスとして活用してください。
まとめ
催事出店は、食品会社にとって単なる販売機会ではありません。
それは定番棚に並ぶための最短ルートであり、バイヤーの信頼を得るための実践の場です。
現場でお客様と向き合い、反応を感じながら提案力を磨くこと。
その積み重ねがブランドを育て、販路を広げる力になります。
社長、催事は終わりではなく始まりです。
現場に立ち、お客様と話し、学びながら成長する姿勢こそ、次のチャンスを呼び込みます。
一歩踏み出す勇気が、会社の未来を変えます。
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