食品会社がバイヤーに提案するとき、必ず聞かれる質問があります。
なぜ、この店で売る必要があるのか。
なぜ、他社ではなく御社の商品なのか。
この2つです。
多くの社長や営業担当者が商談で結果を出せない理由の多くは、この2つの質問への答えが明確でないことにあります。
どんなに良い商品でも、バイヤーの疑問を解消できなければ採用にはつながりません。
商談の成功は、商品の品質ではなく、相手の質問にどれだけ的確に答えられるかで決まります。
バイヤーが質問をする本当の理由
バイヤーは商品の良し悪しだけを見ていません。
店舗全体の売上や利益、客層、満足度を考えたうえで、どの商品が売場全体にプラスになるかを判断しています。
「なぜこの店で売るのか?」という質問は、単なる興味本位ではありません。
お客様にとって必要な商品なのか。
既存のラインナップをどう補えるのか。
その店のコンセプトに沿っているか。
これらを確認する意図があります。
「なぜ他社ではなく御社の商品なのか?」という質問は、差別化の確認です。
同じカテゴリーで仕入れ先がある中、なぜ新しくあなたの会社と取引する必要があるのか。
この問いに明確な答えを出せるかどうかが、採用の分かれ目です。
食品会社が準備すべき答え方
商談では、質問に即座に答えられるように準備しておくことが大切です。
漠然と「売りたい」ではなく、店舗視点・顧客視点で提案を組み立てます。
- この売場で売る理由
・ターゲット層との一致
この商品は50代女性を想定しており、御社の健康志向コーナーの利用者層と一致しています。
・売上貢献
高価格帯グラノーラの隣に並べることで、お客様の選択肢が広がり、単価アップが期待できます。
・季節性やトレンド提案
夏の需要期に合わせた冷やし麺で、今年のトレンド「薬味たっぷり」を取り入れています。
季節コーナーの目玉商品として展開できます。
・売場課題の補強
お土産コーナーでは手土産向け小量品が少ない印象です。本商品でその隙間を埋められます。
・カテゴリー強化
高付加価値納豆カテゴリーを拡充したいという方針に合わせ、単価250円の商品で利益率アップが可能です。
・棚割り提案
豆腐惣菜コーナーに並べることで、ついで買いを促し、購買単価を上げられます。
- 他社ではなく自社商品を選ぶ理由
差別化は「特徴」ではなく「証拠」で示します。感覚的な話ではなく、客観的な根拠が説得力を生みます。
・原材料の優位性
他社が輸入原料を使う中、当社は契約農家の〇〇県産〇〇を使用。トレーサビリティまで明確です。
・製法の独自性
独自の〇〇製法で風味を逃さず仕上げ、特許も取得済み。食感と香りの違いがリピートにつながります。
・社会的価値
地域の障がい者就労施設と連携して製造。SDGsや地域貢献という視点で、御社のCSR活動にもつながります。
・実績データ
昨年〇〇百貨店での販売では、平均消化率〇〇%を達成。販売期間中のリピート率も高く評価されました。
・対応力
小ロット・短納期の対応が可能で、販促物の提供や追加提案も柔軟に行います。
・在庫リスクの低減
賞味期限が長く、ロスリスクを抑えられます。バイヤーにとって扱いやすい商品です。
抽象的な言葉では伝わらない
多くの食品会社が「おいしい」「安心安全」「手作り」「こだわり」と伝えますが、これらはすでに常識です。
どの会社も言うため、差別化になりません。
言葉を具体化すると、説得力が一気に高まります。
・「おいしい」→ 北海道産〇〇を使用し、糖度◯度以上を保証。熟成時間を一定管理。
・「安心安全」→ 無農薬契約農家限定。出荷時に全ロット検査を実施。
・「手作り」→ 職人が毎朝5時から仕込み、一つひとつ手作業で成形。
・「こだわり」→ 北海道産大豆を二年熟成の木桶で自然発酵。
抽象語を具体的に置き換えるだけで、提案の質が変わります。
商談突破の核心
採用される会社は例外なく、この2つの質問に明確な答えを持っています。
どの売場でどう売れるのか、なぜ自社でなければならないのか。
この2点を説明できれば、バイヤーの迷いが消え、採用判断が早くなります。
「検討します」で終わる商談の多くは、この部分が曖昧なケースです。
まとめ
食品バイヤーとの商談は、商品の魅力を語る場ではなく、相手の疑問にどう答えるかを試される場です。
なぜこの店で売るのか、なぜ他社ではなく自社なのか。
この2つの質問に即答できる商品は、売れる可能性が高まります。
そして、この答えを他人に任せず、自分の言葉で語れるようになること。
それが営業力を高め、販路を広げるいちばんの近道です。
営業代行に頼る前に、自社で言葉を磨き、現場で反応を確かめながら伝える。
この積み重ねが信頼を生み、長く続く取引を育てていきます。
販路開拓でお悩みの社長はご相談ください。
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