暑さが厳しくなると、つい手が伸びるのが冷たいお菓子。最近では「シャトレーゼ アイス」の検索ワードが急増しており、
消費者の関心が再び高まっています。
同時に、「なぜあれほど安く提供できるのか?」「店舗が増えているのはなぜ?」といった声もよく聞かれます。
中小の食品メーカーにとって、全国規模で成長した企業の戦略は一見すると自分たちには関係のない話のように
感じるかもしれません。シャトレーゼの成長の背景を見ていくと、実は「中小企業でも取り入れられる工夫や視点」が
多く含まれていることに気づきます。
この記事では、山梨県の一菓子メーカーとしてスタートしたシャトレーゼが、どのようにして全国ブランドへと育ったのかを
振り返りつつ、販路開拓に悩む中小食品会社が学ぶべき具体的なポイントを考えてみたいと思います。
山梨の一菓子メーカーがなぜ全国区に?
シャトレーゼは1954年、山梨県甲府市で創業しました。もともとは地元密着型の小規模な菓子メーカーでしたが、
徐々に自社工場による大量生産と店舗展開を組み合わせるビジネスモデルへと進化していきました。
最大の転機となったのは、1967年に「製造直販」へと舵を切ったことです。これは、工場で作った商品を中間業者を介さず、
自社の店舗で直接販売するという仕組みであり、いわゆるSPA(製造小売)モデルに近いスタイルです。
このモデルによって、シャトレーゼは「安さ」「安心」「品質」をバランスよく実現することに成功しました。
菓子業界でありながら、物流と店舗オペレーションを強みに変えた同社の姿勢は、まさに販路戦略の見本といえるでしょう。
価格を下げずに価値を上げる「仕組みづくり」
「シャトレーゼは安いけど美味しい」とよく言われます。
しかし、これは単に価格を下げているのではなく、「価格を抑えても品質を保てる仕組みを持っている」から可能なのです。
自社工場での一貫製造によってコストを削減しながらも、製造のコントロールを維持。
さらに直営店舗による販売体制を整えることで、商品の訴求ポイントをブレずに伝えることができます。
ここから学べることは、「無理な値下げで競争に巻き込まれるのではなく、
仕組みで納得感のある価格を実現すること」です。
たとえば、地元の規格外野菜を使った商品や、冷凍保存によるロス削減商品など、
原価を工夫しながらストーリー性のある価格設定を行うと、消費者にとっての買う理由が明確になります。
自社で売る力を持つことが販路になる
もう一つのポイントは、「自社で売る力」です。シャトレーゼは、全国600以上の直営・FC店舗を展開していますが、
いずれも自社ブランドの世界観を伝える売場として機能しています。
これは、ただ商品を並べて売っているのではなく、「なぜこの商品なのか」を語る場所を自ら持っているということです。
百貨店やスーパーへの卸だけに依存するのではなく、
・地域の直売所やイベントで販売する
・自社のネットショップで価値を伝える
・レストランやカフェと組んでコラボ商品を出す
といった、自主販売型の売り方を持つことが大切です。
今は冷凍やチルドの宅配インフラも整ってきた時代です。
地方の小さな食品会社であっても、冷凍食品やスイーツの全国発送は十分に可能です。
実際、シャトレーゼも冷凍ケーキなどを展開しており、全国への発送が売上を支えるひとつとなっています。
季節性・話題性を生む企画力が販路を広げる
シャトレーゼは、季節ごとの限定商品を展開することでも知られています。
たとえば「桃フェア」「七夕限定」「ハロウィンスイーツ」など、その時期に合わせた商品を打ち出すことで、
常に話題を生み、集客に成功しています。
また、SNS映えを意識したパッケージやコラボ企画も見逃せません。
味だけでなく、「選びたくなる」「贈りたくなる」仕掛けがあることで、顧客との接点が増えます。
中小企業でも、こうしたアイデアは取り入れやすいはずです。
地元食材の旬を生かした限定品、イベントと連動した詰め合わせ、お中元やお歳暮に特化したパッケージなど、
身近な材料から季節性を取り込むことができます。
商品の質だけで勝負するのではなく、「話題になる導線」を意識することが販路拡大の鍵です。
まとめ:自社に置き換えて行動するヒントを見つける
シャトレーゼの成功は、全国展開や大資本があるからこそと思われがちですが、実は創業当初は地方の一菓子メーカーでした。
仕組みを工夫し、販路を自社で設計し、顧客と直接つながることで、着実にブランドを育ててきたのです。
中小食品会社も、「製造」「販売」「伝える」の3点を見直し、自社の強みに合った販路づくりを目指すべき時期に来ています。
シャトレーゼのように、価格ではなく“価値”で勝負できる仕組みを少しずつ整えていくことで、
販路は確実にひらけていきます。
小さなヒントを自社に置き換え、一歩でも行動につなげていくこと。それが中小企業の生きる道です。
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