業績がよい社長の共通点とは?

― 他責にせず、自らの行動を変えるリーダーシップ ―


「売上不振の理由」を外に求めてしまうのか

食品会社を経営していると、売上や利益が伸び悩む時期は必ず訪れます。
「最近は景気が悪いから仕方ない」
「大手との競争が激しすぎる」
「社員が思うように動いてくれない」

ついこんな言葉を口にしたくなるものです。もちろん外部環境の影響は無視できません。
業績のよい社長にはある共通点があります。それは、「他責にせず、自らの責任で考える姿勢」です。

国の政策や業界の流れ、競合の動きを変えることはできません。社員を責めても状況は改善しません。
逆に、社長自身の姿勢や判断を変えることで会社は必ず動き出します。最終的に売上や利益を決めているのは
「社長の意思決定」なのです。

この記事では、業績がよい社長の共通点を整理し、食品メーカーの経営にどう活かせるかを具体的に解説します。

なぜ「他責思考」が会社を弱くするのか

業績が悪化すると、原因を外部に求めるのは自然な反応です。
人は自分を守るために「環境のせいだ」と考えがちです。この習慣が続くと会社の成長は止まります。

第一に、社内の行動が変わらないこと。
「景気が悪いから売れない」と言ってしまえば、それ以上の工夫や挑戦が不要になります。
営業の改善も販路の開拓も止まり、時間だけが過ぎてしまいます。

第二に、社員の士気が下がること
「社員が悪い」と言えば、社員は挑戦よりも防御に走ります。失敗を恐れて動かなくなり、組織は硬直します。

第三に、経営判断が遅れること
「補助金が下りないから動けない」と待ちの姿勢になると、本来すぐ実行すべき戦略が後手に回ります。
その間に競合は新しい取り組みを始めてしまいます。

一方、業績のよい社長は「外部環境は変えられない。だから自分が変わる」と考えます。この発想の切り替えが、
食品メーカーとして会社の未来を分けるのです。

自責で考える社長の行動習慣

それでは、具体的に「自責で考える」とはどういう行動でしょうか。食品業界に即して、3つの実践ポイントを挙げます。

1. 売上不振の原因を「自社の打ち手」で分析する

例えば「展示会で成果が出ない」ときに「来場者の質が悪い」と決めつけていませんか?
業績のよい社長は「自社のブース設計は分かりやすかったか」「商品の見せ方や価格設定は適切だったか」と、
自らの改善点に目を向けます。

2. 社員に責任を押しつけず、仕組みを整える

「営業が動かない」のではなく、「営業が動ける仕組みが不足している」と考えます。提案資料の整備、
成功事例の共有、展示会でのフォロー体制など、仕組みを整えれば社員は成果を出しやすくなります。

3. 環境変化をチャンスと捉える

食品業界は変化が激しい世界です。「値上げが通らない」と嘆く代わりに
「小ロット高付加価値商品で利益率を確保する」など発想を切り替えることができます。輸入規制や物流の混乱も
「地産地消を訴求できるチャンス」と捉える社長は強いです。

社長が常に「自分にできることは何か」と問い直すことで、会社は必ず前進します。

食品メーカーが「自責の経営」で変わった実例

ここで実際の事例をご紹介します。

ある地方の和菓子メーカーは、長年売上が伸び悩んでいました。社長は「若者は和菓子を食べない」
「スーパーが価格競争を仕掛けてくる」と嘆いていました。展示会に出ても成果は出ず、社員のモチベーションも
低下していました。

そこで取り組んだのが「原因を自社の中に求める」ことです。まず、商品のパッケージを刷新し、
ストーリー性を加えました。価格帯も見直し、ターゲットを「ギフト需要」に切り替えました。
営業トークも「伝統」だけでなく「健康志向」「高級感」を打ち出しました。

結果、首都圏の百貨店バイヤーの目に留まり、催事出店の機会を獲得。そこから自社ECの売上が伸び、
補助金を活用してリニューアルしたホームページ経由で新規の引き合いも入りました。

社長が「環境のせい」にするのをやめ、自責で改善に動いた瞬間、社員も「社長がここまで本気なら」と変わり、
組織が活気を取り戻しました。

行動提案:社長が変われば会社が変わる

業績がよい社長の共通点は、外部環境や社員を責めず、自分の行動と意思決定で未来を変えようとする姿勢にあります。

食品業界は競争が激しく、補助金や行政支援だけでは生き残れません。国や政府を批判しても状況は変わらず、
社員に不満をぶつけても前進しません。唯一変えられるのは、社長自身の行動です。

まずは次の3つを実践してみてください。

  • 売れない理由を外ではなく自社に探す
  • 社員を責めず、仕組みで成果を出せる環境を整える
  • 環境変化をチャンスに変える発想を持つ

小さな一歩でも、社長が変われば会社は必ず変わります。展示会での見せ方や営業資料の改善から
始めるだけでも新しい商談は生まれます。

未来をつくるのは外部環境ではなく、社長自身の決断です。


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