営業の訪問先は社長が決めるべき理由|食品会社の販路開拓成功の鉄則


食品会社にとって営業活動は、売上をつくる最大の武器です。どんなにこだわりの商品を開発しても、
適切な売場に並ばなければ売れません。そのために必要なのは「誰に営業するのか」を明確にすることです。

多くの会社では営業担当者に訪問先を任せていますが、それでは販路開拓は思うように進みません。
なぜなら営業は訪問しやすい相手に偏り、本来攻めるべきターゲットを後回しにしてしまうからです。
社長が訪問先を主導することは、会社の未来を左右するほど重要な経営判断なのです。

営業任せにした失敗事例

ある地方の調味料メーカーは、営業担当に訪問先を任せていました。営業担当は人当たりが良く、
取引先の担当者とも仲が良かったため、毎週のように同じスーパーを訪問していました。

ところが、そのスーパーは地元密着型で仕入れ量も限られており、大きな売上にはつながりません。
社長は「毎週活動しているのに成果が上がらない」と疑問を持ち、訪問報告を調べました。
すると半年間で新規開拓ゼロ、既存取引先ばかりに通っていたことが判明しました。

結局その会社は販路を広げられず、競合に市場を奪われてしまいました。営業担当に悪気はなくても、
訪問先の選択を誤れば、いくら足を動かしても成果は出ないという典型例です。

社長が戦略を示した成功事例

一方で、社長が訪問先を明確に決めて成果を上げた会社もあります。ある菓子メーカーでは、
これまで営業担当が「会いやすい地元の小売店」ばかり訪問していました。

社長はその状況を改め、「今期は首都圏の大手百貨店や高級スーパーを重点的に狙う」と方針を出しました。
具体的に「首都圏に展開する有力百貨店」「全国に店舗網を持つ高級スーパー」などのカテゴリー名を挙げ、
必ず訪問するよう指示しました。さらに訪問報告を毎週確認し、進捗をチェックしました。

その結果、半年後に有力スーパーで新規採用が決定。地方メーカーとしては異例の快挙で、
全国的にブランドが広がるきっかけとなりました。

営業にまかせると「人間関係営業」になりがち

営業はどうしても「相性の良いバイヤー」と会うのを好みます。商談が楽しく、雑談も弾むため時間が過ぎてしまうのです。
ところが、どれだけ仲が良くても仕入れ規模が小さければ売上は伸びません。

ある惣菜メーカーでは、営業担当が気心の知れた中堅スーパーのバイヤーとばかり会っていました。
実際の取引額は微々たるもの。社長が気づいてターゲットを大手量販店に切り替えたことで、数倍の売上につながりました。

訪問先を決める基準

社長が訪問先を決める際には、次の基準が役立ちます。

  • 自社商品との親和性(高級路線か量販向けか)
  • 売上規模と成長ポテンシャル
  • ブランド向上につながるかどうか
  • 地域戦略との整合性

この基準を満たすバイヤーを優先リスト化し、営業に共有することが重要です。

成功を呼んだリスト管理の事例

ある調味料メーカーの社長は、自ら「訪問必須リスト20社」を作りました。
大手百貨店から広域展開する有力スーパーまでを具体的にカテゴリーで指定し、営業に渡しました。
さらに月に一度は自分でも訪問し、現場を肌で感じました。

その結果、営業担当は「社長が決めたリスト」に従って効率的に動けるようになり、新規取引が次々に決まりました。
社長も現場を理解しているため戦略修正が早く、結果として売上は2年間で1.5倍に伸びました。

失敗から学んだ教訓の事例

別の漬物メーカーでは、営業が「とりあえず回る」スタイルで活動していました。1日5件訪問しても、
そのうち3件は取引の可能性がほとんどない相手。残り2件も既存先ばかりで、売上はほぼ横ばいでした。

社長が状況を把握したのは、数字が赤字に転落したあとでした。もっと早く社長が訪問先を決め、
戦略的に動いていれば損失は防げたはずです。

訪問報告をどう活かすか

社長は訪問報告をただ読むだけではなく、次のように活用すべきです。

  • 同じ取引先への偏りを見抜く
  • 訪問回数と売上の相関をチェックする
  • 新規開拓の比率を確認する
  • 目標に沿った活動かどうかを判断する

報告書を基に営業と対話すれば、戦略修正もスピーディに行えます。

社長同行が生むインパクト

時には社長自ら訪問に同行することも強力な武器になります。
バイヤーは「社長自ら来ている」という姿勢に本気度を感じ、信頼が一気に深まります。
水産加工会社の社長は、首都圏の大手量販店に自ら足を運び、商品への思いを語りました。
その結果、営業担当だけでは突破できなかった取引が決まりました。

まとめ

営業の訪問先を営業任せにすると、活動は必ず偏ります。売上を伸ばすためには、社長が主導してターゲットを選び、
訪問を管理することが不可欠です。

  • 営業任せでは人間関係に流れる
  • 社長が決めれば狙う市場に集中できる
  • 訪問リストと報告チェックで軌道修正できる
  • 社長自身が動けば信頼が深まり、新規開拓の扉が開く

食品会社にとって「営業の訪問先は社長が決める」。これは単なる方針ではなく、販路開拓成功のための鉄則なのです。

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