ECサイトを立ち上げ、ネット販売を始めた食品会社の社長から
「アクセスはあるのに売れない」「広告を出しても反応が悪い」という声を多く聞きます。
SNSに力を入れても伸びず、楽天やBASEに出店しても成果が出ない。
広告費だけが積み上がり、社長が疲れ果てているケースも少なくありません。
この現象は「うちの商品が悪いから」でも「時代が悪いから」でもありません。
原因は販路の考え方そのものがズレていることにあります。
今回は、ECの売上に悩む食品会社の社長に知ってほしい三つの真実をお伝えします。
第一の真実:食品は“検索で選ばれない商品”である
ECでは「検索される」ことが売上の前提です。
消費者が“検索して買う商品”であれば、SEO対策や広告運用で成果を上げられます。
けれど食品の多くは、検索して買うものではありません。
そもそも、一般の消費者は「〇〇県の△△漬け」を知らないのです。
知名度がない段階で、ネット上に商品を並べても比較対象が多すぎて埋もれてしまいます。
価格の安さで勝負すれば、同業者との値下げ合戦に巻き込まれ、利益を失うだけです。
食品は「検索ではなく出会いで売れる商品」です。
味、ストーリー、人柄、この三つを伝える接点が必要です。
ネット上でそれを伝えるには時間とコストがかかります。
小さな会社ほど、まずリアルな出会いから始めるべきなのです。
第二の真実:リアル販路はECを支える“信頼の土台”である
ある地方の干物メーカーが、ECで全国販売を目指していました。
広告を出しても売れず、結局一年でサイトを閉鎖。
その後、展示会で東京のバイヤーに出会い、百貨店の催事に出品。
「おいしい」と声をかけられ、リピーターがついた。
その百貨店で知ったお客さんが、ECで再購入してくれたのです。
また、中国地方の総菜メーカーの例もあります。
地元で人気だった惣菜をECで販売しようと挑戦しましたが、最初の半年は売上ゼロ。
原因を分析すると、オンラインで味を想像できる情報がほとんどなく、誰のための惣菜なのかも伝わっていませんでした。
そこで社長は発想を変え、まず地元百貨店の催事に出店。
直接お客様と会話をしながら改良を重ね、試食販売で商品を磨き上げました。
結果、ファンがつき、「またあの味を食べたい」との声が増加。
その声をもとにサイトをリニューアルすると、自然にECの注文が増えたのです。
リアル販路でつくった信頼が、オンラインの売上を後押ししました。
このように、リアルな販売先で信頼の入口をつくると、
ECはその延長線上で活きてきます。
リアル販路は「商品が本物である」と証明してくれる舞台です。
展示会・商談会・バイヤー訪問で顔を覚えてもらうことは、
ネット上で広告を出すよりも強力な信頼形成になります。
中小食品メーカーが最初にやるべきことは、
SNS運用やWEB広告ではなく、リアル販路での信頼づくりです。
人が「誰から買うか」を決めてから「どこで買うか」を選ぶのです。
第三の真実:ECは“販路のゴール”ではなく“延長線”である
多くの食品会社が、ECを「新しい販路」と考えています。
けれど実際には、ECは“販路の延長線”です。
リアル販路で得た信用やファンを、継続的な売上につなげるための仕組みです。
リアルで食べてもらい、気に入った人が
「また買いたい」と思ったときにECがある。
この順番を逆にしてしまうと、売上は伸びません。
例えば、展示会で得た名刺の相手に
「オンラインでも購入できます」と案内する。
催事で購入したお客様に、後日メールで再購入の案内を送る。
こうした流れをつくれば、ECは自然と成果を出します。
つまり、ECで売る前に“売れる理由”をリアルで確かめる。
この順番を間違えなければ、無理に広告を打たなくても安定した売上がつくれます。
販路を「設計」する社長が生き残る
ECに挑戦するのは悪いことではありません。
ただし「販路設計」という視点を持たなければ、すぐに壁にぶつかります。
どんな順番で販売するのか、どこで信頼を積み上げるのか、
誰にどう伝えるのか。
この設計ができる社長こそが、時代に左右されない強い会社をつくります。
たとえば、地元での試食販売→百貨店催事→商談会→EC
という流れを描けば、
お客様の声を聞きながら確実に改善できます。
ECで苦戦している会社ほど、リアル販路を軽視しています。
けれど、百貨店や高質スーパーのバイヤーとつながれば、
販路は一気に現実味を帯びます。
売れない理由はECではなく、設計の欠如。
設計図なしの販路開拓は、家を図面なしで建てるようなものです。
ECは“信頼を運ぶ器”にすぎない
食品は「味」と「人」で売れます。
その“味”と“人”を伝えるのがリアルな販路です。
ECはその信頼を運ぶ“器”でしかありません。
リアルで出会い、ECでつながる。
この順番ができていれば、
広告に頼らずとも自然と売上がついてきます。
ECの限界を感じたときこそ、販路を見直すチャンスです。
リアルの信頼を取り戻せば、ネットの売上も再び動き始めます。
食品会社の販路開拓を支援してきて痛感するのは、
社長が売り場を知らずにECに走ると、必ず迷子になるということです。
逆に、展示会や商談会で磨いた商品は、ECでも強くなります。
ECサイトをオープンしたら売れることはありません。
販路は戦略です。
リアルとネットをどう組み合わせるかを考えることこそ、
これからの食品会社の経営者の仕事といえます。
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