食品の販路開拓専門家 伊藤晴敏です。
今回は、北海道の小さな菓子メーカーが売上の壁を突破し、安定した販路を手に入れた成功事例を紹介します。
中小の食品会社が抱える課題と成長のヒントを読み取ってほしい内容です。
社長自身がすぐに動ける話ばかりなので、自社の販路開拓にも取り入れやすいと思います。
北海道の菓子メーカーは、創業から十年以上、地元のスーパーや道の駅を中心に商品を並べていました。
お菓子の味には自信があり、観光客や地元の方から評価されていました。
それなのに売上は横ばいで、利益が残りにくい状態が続いていました。130円という価格設定は買いやすい反面、
会社としては厳しい数字です。大量生産の大手メーカーと同じ価格帯で勝負すると中小は消耗します。
原材料費も人件費も上昇し、利益を確保するための余力が生まれません。
社長は毎日働きながらも達成感を感じにくい日々を送っていました。
この会社の本当の課題は、商品の良し悪しではありませんでした。問題は販路の選び方にありました。
味の評価が高いのに伸びない会社は、市場が合っていないケースが多いです。
地元市場は価格優先の傾向が強く、価値を伝えても受け入れられにくい場面があります。
とにかく価格、安いこと。地域のつながりも値段をあげることが難しいです。
中小食品メーカーの販路開拓では、ターゲット設定が売上の未来を決める大きな要素になります。
良い商品が価値を発揮するのは、適切な市場に置かれた時です。
この会社がとった戦略は、ターゲットをごっそり変えることでした。
視線を向けたのは首都圏の高級スーパーやセレクトショップ。地方の味を求める買い手層が多く、
地域性やこだわりに価値を感じてくれる場所です。北海道ブランドは信頼が厚く、品質イメージも高いため、
この市場との相性は抜群でした。
次に大きく手を入れたのがパッケージでした。従来は地元スーパー向けの落ち着いたデザインで、情報量も控えめ。
首都圏の高級スーパーでは、競合が多い棚で選ばれるためには第一印象が重要です。
そこで、素材の良さ、北海道らしさ、製法の丁寧さを視覚で伝えるデザインに刷新しました。
デザイン費用はよろず支援拠点や商工会と連携して補助金を活用。
写真の配置、色使い、フォントの選び方まで見直し、棚に並べた時に手に取りたくなる構成を整えました。
そして価格改定。130円から400円への大幅な変更は社長にとって大きな決断でした。安さで勝負するのではなく、
価値で勝負する市場を選んだからこそ実現できた価格です。工場のこだわり、素材の良さ、仕込みの丁寧さ。
これらを丁寧に伝える営業資料も整備し、商談の場でもしっかり説明を行いました。結果として、バイヤーの見方が変わり、
商品の立ち位置が明確に上がりました。
採用が決まると動きは早く、首都圏の店舗での販売が始まりました。
すると、味の良さとパッケージの印象が一致し、固定ファンがつきました。売れ方が安定し、
社長が予想していた以上のペースでリピートが続きました。価値に合った価格に整えるとブランド力が生まれ、
口コミも広がります。自社の本来の魅力が正しい市場で評価された瞬間でした。
この成功事例から読み取れるポイントをまとめます。
味に自信がある会社ほど販路を変えると一気に伸びる余地があります。
価格が安すぎる会社は戦う場所が違うだけという場面も多いです。ターゲットを絞り、
価格を整え、パッケージを磨くと商品価値が伝わりやすくなります。
食品メーカーは商品が良くても伝わらなければ売れません。伝える手段が販路でありデザインであり価格です。
この三つが揃うと商談が進みやすくなり、バイヤーからも信頼されます。
全国には同じ悩みを抱える中小食品メーカーが多数存在します。地元依存の販路は限界があり、
価格競争に巻き込まれやすい構造があります。視点を広げ、適切な市場に進むことで会社が生まれ変わることがあります。
今回の北海道の成功事例は、その良い例です。地域の力、素材の強み、作り手の想い。
それらを理解してくれる市場に届けると売上は安定し、事業の未来が明るくなります。
販路を変えると成果が出やすい会社には特徴があります。味づくりに時間をかけてきた会社、素材の良さを大切にしてきた会社、
地域性を強みとして育ててきた会社です。北海道の菓子メーカーも同じです。
作り手の技術と熱意があるのに成果が出ない状態が続くと、社長の気力も落ちていきます。
努力を続けても報われない時は方向転換が必要です。営業の量を増やすより、
市場の選び方を変えるほうが結果につながる場面が多いです。
首都圏の高級スーパーやセレクトショップは、地方食品メーカーにとって大きなチャンスがあります。
大手との差別化がしやすく、地方の素材に価値を感じる買い手層が多いため、魅力がそのまま届きます。
地元だけに頼ると価格が上がらず、利益も残りにくい状況が続きます。利益が残らないと次の投資ができず、
事業の成長が鈍くなります。適正な価格で販売できる販路に進むことで、会社の再投資サイクルが回り始めます。
この事例はまさにその動きが生まれた場面でした。
自社の商品をあらためて見つめ、魅力が最も伝わる場所を選ぶことが成長の入口です。
商品の強みを生かせる市場で勝負すれば、固定ファンも育ち、安定した売上が生まれます。
北海道の菓子メーカーのように、販路と価格を整えるだけで会社の未来は変わります。
新しい商品をお金と時間をかける必要はありません。
まずは今の販路が本当に合っているかを見直してみてください。そこから新しい道が開きます。
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