商談会と展示会で成果を出す方法 準備とフォローで結果を変える


食品の販路開拓専門家・伊藤晴敏です。

秋は全国で商談会と展示会が集中する季節です。百貨店、スーパー、専門店、通販事業者、地域の卸、アンテナショップなど、
多くの売り場が年末商戦に向けて動き始めます。仕入れ担当者のアンテナが一年で最も高くなる時期で、
この数ヶ月をどう使うかが翌年の売上まで左右します。
小さい会社ほど、この秋を味方につけることで成長のきっかけが生まれます。

成果を出す会社には、共通する動きがあります。最初に行うのはターゲットの明確化です。
誰に売りたいのか、どの棚に置かれたいのか、どんなお客さまに届けたいのか。ここが曖昧だと当日の会話が散らばり、
焦点が定まりません。

高価格帯なら百貨店や専門店。地元色を活かすなら地場スーパー。スピードを重視するなら通販。
このように方向性を決めると、相手に合わせた説明が自然にできるようになります。

方向性が決まると、参加すべき商談会と展示会も自動的に絞れます。
誘われたから参加するという考え方では成果が出にくくなります。

自社の商品を求めていない会場に出ても名刺交換だけで終わり、時間と費用のロスが増えます。
自社と相性の良い会場だけに力を注ぐと、短時間で深い話ができ、案件が進みやすくなります。

秋の商談会と展示会で結果を左右する大きなポイントは事前準備です。準備が整っている会社は当日も落ち着いていて、
会話が無駄なく進みます。商品説明シート、原材料表示、FCPシート、ロット、賞味期限、配送条件、納期、卸し価格、
販促の可否など、バイヤーが確認したい情報を一枚か二枚のシンプルな資料にまとめておくと信頼につながります。
資料が多すぎると相手が迷います。必要な情報だけがわかりやすくまとまっている資料が最も評価されます。

展示する商品も多すぎると迷いが生じます。三点から五点に絞り、中心となる商品を決めておくと印象が残りやすくなります。
特に初めて会う相手には一点の軸があるほうが話が深まります。
そこから関連商品の紹介へつなげれば、自然に広がりが生まれます。

当日の会話は長すぎないほうが進みます。三分以内で話せる形に準備しておくと、自分の説明が研ぎ澄まされます。
相手の課題を引き出しながら、必要な情報だけを伝える姿勢が好印象を生みます。
売り込むよりも、相手が何を求めているかに耳を傾ける会社が選ばれます。

そして、商談会と展示会の本番は実は当日ではありません。結果を分ける最大のポイントは事後フォローです。
まずは当日のお礼メール。短くてもよいので当日の要点と次の提案をまとめて送ると、相手の記憶に残りやすくなります。

返信がないケースがほとんどですが、気にする必要はありません。
仕入れ担当者は膨大な案件を抱えているため返信が追いつかないだけです。返信がない状態は普通であり、脈なしとは限りません。

結果が出る会社は、サンプルと見積を一週間以内に先方着で届けています。商談会が続く秋は案件が重なるため、
スピードが遅れるだけで関心が薄れます。事前にテンプレートを作り、必要項目を差し替えるだけで発送できる準備を整えておくと、
対応スピードが格段に高まります。サンプル配送は手前で準備を終わらせておくことが大切です。

商談会後の名刺は、即座に活かすことが重要です。名刺の裏に当日の相手の反応、興味を示した商品、
次のアクションを書き込み、その日のうちに優先順位を決めます。これを習慣にしている会社は結果につながります。
名刺は単なる紙ではなく、未来の売上につながる資産です。

さらに成果を高めるのが定期的な情報提供です。自社の商品情報だけでなく、季節の企画、メディア掲載、製造体制の強化、
新商品の試作、値上げ前の案内、業界トレンドなど、相手に役立つ情報を送ると記憶に残ります。
関係性が薄れても、情報提供を続ける会社は半年後、一年後に案件が再開することがあります。
小さい会社ほど、この積み重ねが大きな差になります。

展示会ではブースの見せ方も成果に影響します。豪華な装飾は不要で、商品が見やすいこと、手に取りやすいことが最優先です。
試食が可能なら、混み合う前の時間帯に担当者がゆっくり試せるよう工夫します。説明は短く、資料はすぐ渡せる位置に置き、
相手が関心を持った瞬間に次の一手を出せる形が理想です。

秋は一年で最も売り場が動く季節です。準備を整え、会場を選び、事後のフォローを徹底すると、
小さい会社でも確実に成果が出ます。その積み重ねが来年の売上につながります。社長にとって秋の動きは未来の投資です。
この時期を最大限に活かせるよう、これからもしっかり伴走します。


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