1. 導入:小さい食品会社の社長を縛る「社長頼み」という罠
社長、毎日の業務の中で、「自分がいないと現場が回らないのでは」「もし頼りのエースが辞めてしまったら、
会社の販路が一気に崩壊するのでは」といった、漠然とした不安を抱えていらっしゃいませんか
もし、会社の売上のすべてが、社長ご自身や特定のベテラン社員の経験や勘に頼り切っている状態であれば、
それは「社長頼み」という、非常に大きな経営リスクを抱えていることになります。
特に小さい食品会社では、社長がトップセールスマンを務めることも多く、
知らず知らずのうちにこの「社長頼み」の罠に陥ってしまいがちです。
ですが、この問題は、現場の社員の努力が足りないとか、個人の能力の問題ではありません。
ほとんどの場合、社長が作り上げてしまった「仕組み」が、現場を「社長頼み」にしてしまっていることに原因があります。
本記事では、この「社長頼み」という経営的な足かせを、現場の努力論に頼ることなく、
社長の意思決定と、誰でも使えるシンプルな仕組みによって解消し、売上を伸ばすための具体的な戦略を
お話しさせていただきます。
2. 「社長頼み」が小さい食品会社の売上を止める3つの経営的理由
なぜ、社長の会社から「社長頼み」を排除しなければならないのでしょうか。
それは、この状態が「売上に困っている小さい食品会社の社長」の貴重なリソースと、未来の売上を奪っているからです。
- 理由1: 社長の時間が現場の雑務に消えてしまう 社長の最も大切なお仕事は、3年後、5年後の販路開拓戦略を練ることや、
会社の未来を作るための経営判断です。「社長頼み」になっていると、社長は現場の細かい商談の確認や、
イレギュラーなトラブル対応に時間を奪われてしまいます。社長の時間が現場の雑務で埋まってしまうことは、
会社が成長する機会を失っていることと同じです。 - 理由2: 組織リスクが特定の個人に集中してしまう 「あの人がいないと取引が進まない」という状態は、
そのキーマンが万が一退職したり、病気で休んだりした瞬間に、売上とノウハウが文字通り消滅してしまうという、
極めて危険な状態です。小さい食品会社にとって、このリスクは会社の存続にも関わるため、
社長が早急にこの状態を解消する必要があります。 - 理由3: 意思決定が遅くなり商談の機会を逃してしまう 現場の社員がすべて社長の判断を仰がないと動けない体制では、
商談のスピードがどうしても遅れてしまいます。バイヤーからの急な要望や、市場の新しい変化に対応できず、
大きな商談のチャンスを逃してしまうことになります。このスピードの遅れが、
ライバルとの差を生み出す原因となってしまうのです。
3. 社長が「現場を離れる」ための営業仕組み化戦略
「社長頼み」の状態を排除し、売上を伸ばすためには、社長ご自身が「仕組み」を設計し、
現場の業務から一歩離れることが大切です。現場の頑張りや根性論ではなく、仕組みの力で売上を安定させましょう。
- 戦略1: 顧客情報の「共通言語」化 エース社員の頭の中にしかない「あのバイヤーが何を求めているか」
「なぜこの販路は成功したか」といったノウハウを、誰でも理解できるシンプルな統一フォーマットの
データに変えてみてください。高額なシステムは必要ありません。エクセルやノートなど、既存のツールを使い、
「売上倍増に繋がった成功事例」だけを記録し、ノウハウを組織全体で共有する仕組みを作ってみてください。 - 戦略2: 提案プロセスの「マニュアル化」 営業担当が、ゼロから個人のやり方で提案資料を作ったり、
その日の気分で提案内容を変えたりするのをやめます。誰が担当しても同じ水準で提案できる統一された資料と
マニュアルを作成します。これにより、経験の浅い社員でも、エース社員と同じクオリティで商談を進められるようになり、
個人の能力への依存を排除できます。 - 戦略3: 意思決定の「委譲」と「検証役」への転身 小さな判断、例えば「資料請求への対応」や
「次回の訪問日の設定」などは、現場に任せるルールと権限を委譲します。社長は、現場の細かい雑務から解放され、
その時間を「作った仕組みが正しく機能しているか」を検証し、戦略を修正するという、
本来の経営者の仕事に集中するように転身してください。
4. 仕組み化を成功させる「小さい会社ならではの」3つのルール
リソースが限られている小さい食品会社だからこそ、「社長頼み」からの脱却には、この3つの工夫が非常に大切になってきます。
- ルール1: 全員参加型で、完璧を目指さない 完璧なマニュアルを最初から目指す必要はありません。
社員全員で「今、何に一番困っているか」を話し合い、「明日からでもすぐに実行できるシンプルな仕組み」から
導入してみてください。仕組みは、最初から完璧ではなく、使いながら改善していくという姿勢が大切です。 - ルール2: デジタルツールに頼らない いきなり高額なCRMやSFAといったシステムに投資するのは避けましょう。
まずは、エクセルやノートなど、既存のツールを使い、「顧客の声」や「成功プロセス」を記録する仕組みの骨格を
固めることが先決です。費用対効果が低い投資をする前に、仕組みの構造をしっかりと築き上げてください。 - ルール3: 社長が「検証」役になる 仕組みを作った後、社長は現場に対して、「なぜ失敗したのか」と
一方的に責めるのではなく、「この仕組みのどこを改善すれば、次は成功に繋がるか」という
建設的な視点で問いかけてみてください。社長ご自身が仕組みの改善をリードすることで、
組織は自律的に成長し、「社長頼み」のリスクは確実に下がっていきます。
5. まとめと社長へのメッセージ
「社長頼み」からの脱却は、「誰かに任せて売上を安定させる」ための、
社長にとって最も重要で、そして未来につながる経営戦略です。
「売る」という行為を、個人の努力や才能ではなく、再現性のある「仕組み」に変えることで、
社長は現場の煩雑な業務から解放されます。そして、本来の仕事である販路開拓戦略の構築に集中し、
会社の売上を力強く伸ばすことができるのです。
御社の限りあるリソースを最大限に活かすため、
ぜひ今日から「社長頼みを排除する仕組み」の構築を始めてみませんか。
まとめ
- 「社長頼み」は、社長の時間を奪い、組織リスクを高める経営的な問題です。
- 解決策は、個人の能力ではなく、社長の意思決定による「仕組み化」にあります。
- 仕組み化は、顧客情報の共通言語化とプロセスのマニュアル化からスタートできます。
- 小さい会社だからこそ、シンプルで費用対効果の高い仕組みから導入することが成功の鍵です。
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