小さい食品会社が直面する悩みは共通しています。原材料の高騰が続き、包材の値上がりが止まらず、光熱費も上がり続けます。
製造ラインは休めず、仕込みの手間は年々増えています。取引先の仕入れ担当者からは厳しい数字が求められ、
少しの値上げでも反応が気になる。毎日のように判断を迫られながら、利益は少しずつ削られていきます。
多くの社長が同じ状況です。御社も例外ではないと思います。
値上げは避けて通れないテーマです。食の世界は原材料が安定しません。高騰が落ち着いたと思えば、次は別の材料が上がります。
小麦、油、砂糖、乳製品、調味料、冷凍輸送費。どれも御社の努力ではどうにもなりません。
御社は現場を守り、品質を守り、納品を守るしかできません。仕入れ値が上がるたびに社長の迷いが積み重なります。
迷いが長引くほど利益は減ります。利益が減ると現場が疲れます。現場が疲れると製造の質が落ちます。
質が落ちるとクレームになります。悪循環が始まります。この流れを断ち切るのは社長の決断です。
小さい食品会社ほど、社長の判断一つで会社の方向が変わります。値上げは決して後ろ向きな行動ではありません。
御社の利益を守り、現場を守り、品質を守るための手段です。
値上げを成功させる社長には共通点があります。最初に社長が方向性を決めています。
値上げの目的を、赤字回避ではなく利益の確保に置いています。この一点が明確になると判断がぶれません。
御社の目的は売上の維持ではなく、利益を出すことです。利益があるからこそ、商品開発もでき、設備も整え、
働く人の給与も守れます。利益を守るための値上げであれば、自信を持って伝えられます。
次は商品の整理です。食品会社は商品数が多くなりがちです。売れる商品もあれば、
力を入れているのに利益が出にくい商品もあります。すべての商品の値上げを考えると判断が止まります。
まずは主力商品に絞ります。安定して動く商品。原材料の変動を受けやすい商品。
この二つを優先します。主力商品で利益を確保できれば会社の体力が戻ります。
商品整理の次は数字の確認です。食品会社は原価計算に時間をかけがちです。
ただ、値上げ判断に必要なのは精密な数字ではありません。原材料の上昇で利益がどれくらい削られているかを
ざっくりと把握する程度で十分です。材料費、人件費、梱包費、衛生管理費、光熱費。
この五つの変化を見れば十分です。数字が見えると迷いが減ります。数字が見えると値上げ幅も見えます。
ここから社長の準備が始まります。値上げの理由を整理することです。原材料の値上がりだけを理由にすると弱くなります。
御社が守っている品質。衛生管理の徹底。地域の素材を大切にしている姿勢。冷凍や冷蔵の温度管理。製造過程での丁寧な仕込み。
食品会社には独自のこだわりがあります。これを理由に含めると納得されやすくなります。
理由が整理できたら、取引先の分類に入ります。食品会社は取引先によって事情が違います。
長く付き合っている先。新規でつながったばかりの先。単発で終わりやすい先。年末に強い先。百貨店系の先。
スーパー系の先。飲食店向けの先。この分類を社長が行うだけで伝える順番が決まります。
長い付き合いの先から伝えると反応が分かりやすくなり、次の判断がしやすくなります。
取引先への伝え方は現場の交渉術に依存しません。社長が理由と方向性をまとめてから現場に渡すと迷いません。
食品会社の取引先は忙しい仕入れ担当者です。短く、簡潔に、一本化された理由が最も伝わります。
社長が一度だけ方向を示すと、現場も安心します。伝える順番が決まり、理由が整っていれば、値上げは通りやすくなります。
値上げが通ったあとが本当の勝負です。一度通しただけでは会社は強くなりません。
次の値上げに備えた仕組みを作る必要があります。原材料の変動を毎月チェックする担当を決める。
利益の変動を簡単に確認できるシートを作る。新商品を出す際に利益の基準を決めておく。
値上げの基準を一度決めれば、次から迷わなくなります。
食品会社は情報発信と相性が良いです。御社の強みは商品そのものにあります。
その背景を取引先に少しずつ伝えると信頼が積み重なります。地域素材の扱い方。添加物を使わない工夫。
衛生管理。冷蔵や冷凍の温度帯。季節ごとの仕込み。こうした話は仕入れ担当者にとって価値があります。
発信が積み重なると理解が深まり、値上げも通りやすくなります。
小さい食品会社はスピードが強みです。社長の判断が速いと現場が動きます。現場が動くと取引先の反応も早くなります。
値上げは怖いものではありません。社長が判断を固め、商品を絞り、理由を簡潔にまとめ、順番を決めるだけで流れが変わります。
御社の目的は利益の確保です。利益を守ることで会社の体力が戻り、商品開発の余裕も生まれます。
食品会社は変化が激しい業界ですが、迷い続ける必要はありません。判断の軸と準備が整っていれば、値上げは安定して進みます。
社長が仕組みを作ることで、御社の利益は守られます。売上も落ちません。会社の体力が戻れば、販路の開拓もしやすくなります。
取引先との関係も安定します。値上げは御社を強くする大切な手段です。
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