食品会社が展示会に出ても売れない本当の理由|名刺交換だけで終わる会社の共通点


食品の販路開拓専門家・伊藤晴敏です。

展示会に出れば、勝手に注文が舞い込む。 そう信じている社長さんは、案外多いものです。
立派なブースを構え、きれいなパンフレットを作る。 試食の準備をして、三日間立ちっぱなしで声を出す。

終わってみれば、名刺の山が手元に残る。 「これだけ名刺があれば、いくつか決まるだろう」 そう期待して会社に戻ります。
1ヶ月が過ぎます。 3ヶ月が過ぎます。 結局、一軒も決まらない。 そんな現実を、私はこれまで何度も見てきました。

第1章:展示会に出ることが目的になっている会社

展示会に出ることが「ゴール」になっていませんか。 これが、売れない最大の原因です。

準備に追われて、精根尽き果てる会社が多い。 当日の朝、会場に並んでいる時がやる気のピーク。
会期が終わると「ああ、お疲れ様」と、一安心してしまう。 これでは、ただのイベント参加です。

地方の小さなメーカーさんによくある光景です。 補助金が出るから、とりあえず出る。 周りが出るから、うちも出る。
これでは、バイヤーの心には響きません。 バイヤーは、商売の相手を探しに来ています。
「なんとなく参加している人」から、物を買うことはありません。

展示会は、マラソンで言えばスタートラインに立っただけです。 靴を履いて、準備体操をして、ようやく並んだ。
走るのは、展示会が終わってからです。

第2章:名刺交換を営業だと思っている会社

名刺が100枚集まった。 それは、100人と挨拶したという記録に過ぎません。
名刺交換をしただけで、仕事をした気になってはいけません。

展示会が終わって一週間。 集めた名刺は、どうなっていますか。 机の端に置かれたまま。
あるいは、丁寧にファイルに入れただけ。 これでは、宝の持ち腐れです。

バイヤーは、一日の展示会で何百人と会います。 あなたの会社の顔を、いちいち覚えてはいません。
一週間も経てば、試食の味すら忘れています。

ある水産加工会社の社長さんの話です。 「名刺はたくさんあるんだよ」と、分厚い束を見せてくれました。
「で、その後どうしました?」と聞くと、言葉に詰まる。 「いや、相手から連絡が来るのを待っている」と言います。
これでは、いつまで経っても注文は来ません。

自分から動かない限り、展示会はただの「名刺交換会」で終わります。 終わった直後に、お礼のメールを一通送る。
これだけで終わらせるのも、もったいない話です。

第3章:バイヤーの質問に答えられない会社

現場でバイヤーと話していて、急に言葉が詰まる会社があります。 商品のこだわりは、熱心に語れる。
素材がいい、無添加だ、オーガニックだ、手間がかかっている。 そこまではいいのです。

バイヤーが次に聞くのは、もっと生々しい話です。 「ケース単価はいくら?」 「最低何ケースから送れる?」
「月に最大どれくらい作れる?」 「一括納品なのか、各店送りなのか?」

ここで「計算してみないとわかりません」「持ち帰って確認します」と答える。 その瞬間に、商談は終わります。
バイヤーは忙しい。 その場で判断したいのです。 数字がパッと出ない会社を、プロは相手にしません。

以前、ある漬物メーカーのブースで見かけました。 バイヤーが「原価率はどれくらい?」と聞きました。
社長さんは「うちはいいものを使っているから、高いんですよ」と答えました。 これでは会話になりません。

バイヤーが知りたいのは、自分の店で売った時に利益が出るかどうか。
商売の「数字」に答えられない会社は、信用されません。

第4章:展示会で売れる会社は何が違うのか

売れる会社は、展示会が終わる前から「次」を決めています。 ブースで話している最中に、約束を取り付けます。
「来週の火曜日、サンプルを持って御社に伺います」 「この条件で、見積書を明日中に送ります」
こうやって、具体的な一歩をその場で踏み出します。

展示会は、あくまで「きっかけ」です。 顔見知りになるための場所です。 そこから先の営業活動が、本当の勝負です。

実際に成果を出した、あるジャム工場の例を紹介します。 この社長さんは、展示会中に名刺を仕分けしていました。
「脈あり」「普通」「挨拶のみ」 会社に戻る新幹線の中で、すでに「脈あり」の相手にメールを打つ。
翌日には、個別にお礼の電話を入れる。 その次の日には、サンプルを発送する。 このスピード感が、信頼を生みます。

小さな会社は、小回りが利くのが武器です。 大企業が会議をしている間に、サンプルを届けてしまう。
それができる会社が、結果を勝ち取ります。

まとめ:展示会は営業のスタートでありゴールではない

展示会に出るには、多額の費用がかかります。 出展料、旅費、サンプル代、人件費。 地方から出てくるなら、なおさらです。
その投資を、無駄にしてはいけません。

「いいものを作っていれば、いつか見つけてもらえる」 その考えは、今すぐ捨ててください。
今の時代、いいものは溢れています。 バイヤーに「選ばれる」ための準備が必要です。

まず、数字を頭に入れる。 次に、終わった後のスケジュールを空けておく。 そして、自分から泥臭く連絡を入れる。

展示会の三日間は、戦場です。 本当の勝負は、ブースを撤収した瞬間に始まります。
名刺の束を、売上に変えるのは社長、あなたの行動力です。

「うちは営業がいないから」と言い訳をしないでください。 社長自らが、一番の営業マンになればいいのです。
現場で汗をかき、数字を語り、即座に動く。 その姿勢こそが、バイヤーの心を動かす一番の武器になります。

まずは、手元にある去年の展示会の名刺を見返してください。 一度連絡して、断られた相手でも構いません。
「新商品ができました」 「今の時期、これが売れています」 そうやって、一歩踏み出すことから始めてみませんか。

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