原価が上がっているのに、売値を上げられない。 この状態が続いて、利益が残らない。そういう会社が増えています。
①こんな状況ではないですか
小麦粉、油、砂糖、包材、冷凍輸送費、パートの時給。この2〜3年で、ほぼすべてのコストが上がっています。
製造原価が1割、2割上がっているのに、販売価格がそのままという会社は少なくありません。
税理士や銀行からも値上げしたほうがいいと指摘される。
取引先のバイヤーに「値上げをお願いしたい」と話すと、「今は難しい」「競合他社は据え置きです」と返ってくる。
そこで引き下がってしまい、また1年が過ぎる。繰り返していませんか。
気づいたら、売上はあるのに手元に残るお金が減っている。銀行の返済だけが続いている。そういう状況になっていませんか。
②現状を整理する
食品会社のコストはここ数年で大きく上がっています。原材料、物流、人件費のすべてが上昇しています。
それでも値上げできない理由は、取引構造にあります。大手スーパーやドラッグストアとの取引は年間の契約価格が
決まっていることが多く、途中で価格変更するのは難しい。バイヤーも変更には社内稟議が必要で、簡単にはGOが出ません。
結果として、コストが増えても価格を据え置くしかない構造になっています。利益が出ない、
あるいはマイナスになっている商品を抱えたまま、売上だけを維持している会社が多いのはこのためです。
③やってはいけない対応
売り先を変えずに交渉だけ続けても構造は変わりません。値上げを受け入れない相手に何度交渉しても、同じことの繰り返しです。
値上げできないまま取引を続けることは、赤字が増えるだけで、時間が経つほど経営体力を削ります。
コスト削減だけで乗り切ろうとすることにも限界があります。製造コストを削ると品質が落ちます。
人件費を削ると人が辞めてしまいます。
④現実的な対応
値上げができない問題は、交渉の問題ではなく、売り先の問題です。価格を受け入れてくれない相手に売り続けている限り、
利益は改善しません。
まずやるべきことは、取引先ごとの利益計算です。商品別・取引先別に原価と売値を並べると、どの取引が赤字かはっきりします。
赤字の取引を把握しないまま「なんとなく苦しい」という状態が続いている会社が多いです。
いままで正確な原価管理をしてませんでしたが、今回をきっかけにしっかり管理します。
次に、価格を受け入れる売り先への切り替えを検討します。百貨店や高価格帯のスーパー、業務用やホテル向けなど、
価格を受け入れる売り先があります。
既存の取引先でも、取引条件の見直しができる場合があります。年間契約ではなく四半期ごとの価格見直し条件に変える、
最低ロットを引き上げるなど、交渉の余地があることもあります。
⑤ある食品会社の事例
関西の総菜メーカーの話です。大手スーパー2社への卸売りが売上の7割を占めていましたが、
原材料費の上昇で1品あたりの利益がほぼゼロになっていました。
値上げ交渉は2回試みましたが、どちらも「他社と比較して検討します」と言われ、事実上断られました。
そこで方針を変えて、地元の百貨店と、首都圏の自然食品を扱うスーパー3店舗への新規営業を始めました。
最初の半年は売上が下がりましたが、1年後には大手スーパーへの依存を5割まで下げ、粗利率が8ポイント改善しています。
利益が出る取引が増えたことで、経営が安定しました。
⑥まとめ
値上げできない問題は、交渉が下手なのではなく、価格を受け入れない相手に売り続けている構造の問題です。
コストが上がっている以上、利益を確保するには「価格を上げる」か「コストを下げる」か「売り先を変える」かしかありません。
最初の2つに限界があるなら、売り先を変えることが唯一の現実的な選択肢です。
まず利益が出ている取引先と出ていない取引先を分けて、出ていない取引先の比率を少しずつ下げることから始めてください。
そこからしか改善は始まりません。
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