年始挨拶は売上アップのチャンス 食品会社が取引先との信頼を深める営業術


新しい年が始まると、気持ちも新たに「今年こそ売上を伸ばしたい」「新しい取引先を増やしたい」と
考える社長が多いと思います。

営業の現場では、年始の挨拶まわりが恒例行事になっています。
この年始挨拶は、単なる礼儀や儀式ではなく、売上アップにつながる営業活動の第一歩に変えることができます。

多くの社長は、年始挨拶を「形式的な訪問」として終わらせがちです。
けれど工夫次第で、新しい商談のきっかけや、取引先との信頼強化につなげることができます。

これまで全国の食品メーカーの営業支援を行ってきましたが、
年始挨拶を上手に使って販路を拡大した会社は例外なく成果を出しています。

今回はそのポイントを具体的に紹介します。

年始挨拶で売上を伸ばす3つの基本
1.既存顧客だけでなく、見込み客にも訪問する
2.事前に訪問リストをつくり、時間を管理する
3.訪問は短く、印象を残して引き上げる

この3つを実行するだけで、営業活動の質が大きく変わります。

まず最初に意識してほしいのは、「年始挨拶の目的を変える」ことです。

多くの人は「昨年お世話になりました」というお礼を伝えて終わりですが、それだけでは営業チャンスになりません。
大切なのは、「今年こそ新しい提案を持ってくる会社だ」と思ってもらうことです。

たとえば、ある三重県の卸会社の営業担当は、年始の挨拶時に
「新商品のサンプルを1つだけ手土産として渡す」習慣を続けています。

あくまで紹介という形で、売り込みは一切しません。
このシンプルな行動だけで、毎年数件の新規取引が生まれています。

なぜ結果が出るのか。
それは年始という時期が、取引先の仕入れ担当者にとっても新しいスタートだからです。

人の気持ちは年の変わり目で変わります。
「今年は新しい商品を取り扱いたい」「新しい取引先を探したい」と考える担当者が多い。
そのタイミングで顔を出せば、自然と印象が残ります。

訪問リストの作り方も大切です。
既存取引先ばかりに行くと、安心感は得られても新しい広がりは生まれません。

半分は既存先、もう半分は「今年こそ取引したい見込み先」でリストを作りましょう。
年始という理由があれば、普段アポイントが取りにくい会社にも訪問しやすくなります。

ある調味料メーカーでは、年始の挨拶先リストを営業全員で共有し、
「Aランク=取引継続先」「Bランク=見込み先」「Cランク=紹介先」と3段階に分類しています。

1月中に全員で100社を回る目標を立て、名刺交換と資料配布だけに絞ります。
この取り組みを3年続けた結果、Bランク先のうち約15%が新規取引につながりました。
訪問自体は5分以内、会話は短くても確実に印象を残すスタイルです。

ポイントは「短く終わらせる勇気」です。
長居すれば売り込みと誤解されることがあります。

年始は相手も忙しい。笑顔で新年の挨拶を交わし、
「改めて来週、提案書をお持ちします」
と伝えて去る方がスマートです。
この一言が、次の商談につながります。

もうひとつ重要なのは、訪問の前後にメモを残すことです。
挨拶を終えたら、その場で簡単に記録を残す。

・相手の表情や反応
・話題になったテーマ
・次回訪問のタイミング

これをメモしておくだけで、3ヶ月後の営業が格段にやりやすくなります。

さらに最近では、訪問だけでなくメールやSNSを併用する企業も増えています。
年始挨拶の翌日に「昨日はありがとうございました。今年もよろしくお願いします」と
メールを送るだけで、印象が強く残ります。
このフォローのひと手間が、他社との差を生みます。

食品業界では、仕入れ担当者の異動が多い時期でもあります。
新担当者への最初の印象は何より大切です。

初対面の時期に明るく丁寧な挨拶ができると、以後の商談が非常にスムーズになります。
その意味で、年始挨拶は「人間関係を再構築できる絶好のタイミング」なのです。

さらに一歩進んで、「年始の行動を社内で共有する仕組み」をつくると効果が倍になります。
営業担当ごとに訪問件数と成果をまとめ、2月初旬に社内報告会を行う。

成功事例を共有するだけで、翌年の精度が上がります。
このような継続的な振り返りが、営業チームを強くします。

最後にもう一度。
年始挨拶は単なる慣例ではありません。

会社の姿勢を伝える大切な機会です。
「今年もよろしくお願いします」と言いながら、
・どんな提案ができる会社なのか
・どんな考えで顧客と向き合っているのか
が自然と伝わります。

社長や営業マンにとって、年始挨拶は自分の仕事を再確認する時間でもあります。
年の初めにどんな表情で、どんな言葉で相手と向き合うか。
その姿勢が一年の成果を決めます。

訪問を終えて帰るとき、相手が「また会いたい」と思ってくれたら成功です。
今年の営業の第一歩を、心からの挨拶で始めてください。
年始の5分が、1年の売上を左右します。



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