「顧客」と「友達」は違う!社長が知っておくべき営業の線引き


日々の業務で、営業担当者が顧客とどう向き合うべきか悩むことはありませんか?
「顧客とは信頼関係を築き、仲良くなるべきだ」という話はよく聞きます。
確かに、親密な関係はビジネスを円滑に進める上で重要です。そこには決して超えてはならない「一線」が存在します。
この一線を曖昧にしてしまうと、御社のビジネスに思わぬトラブルを招きかねません。
今回は、顧客と友達を明確に区別し、健全な関係を築くための秘訣について、具体的に解説していきます。

なぜ「友達」になってはいけないのか

営業の世界では、「顧客と仲良くなれ」と教えられます。これは、顧客との間に親密さや安心感を生み出し、
長期的な取引につなげるための重要な戦略です。ここで言う「仲良くなる」と、「友達になる」は似て非なるものです。
友達は、損得勘定抜きで付き合う関係。一方、顧客との関係は、お金という対価を伴う取引に基づいています。
この根本的な違いを理解せず、顧客を「友達」と勘違いしてしまうと、様々な問題が発生します。

たとえば、御社の製品やサービスを購入してくれる顧客が、「友達」として接してくるようになったとします。
すると、「支払いを来月まで待ってほしい」「少しだけ値引きしてくれないか」「通常は有料のサービスを
無料で提供してほしい」など、無理な要求をしてくるリスクが高まります。

友達であれば、「困った時はお互い様」と応じてしまうかもしれませんが、ビジネスではそうはいきません。
安易な値引きや支払いの延期は、御社の経営を圧迫し、会社の信用を揺るがすことになります。
また、一度そうした要求に応じると、次々と同様の無理を言われる可能性が高まり、
健全な取引関係が崩壊していく悪循環に陥ります。

顧客が友達と認識してしまうと、営業担当者は断りにくくなります。
「せっかく仲良くなったのに、きっぱり断ったら関係が悪くなるかもしれない」という心理が働き、
結果的に御社の不利益になる決断をしてしまうことがあるのです。
こうした状況は、御社の利益を守るべき営業担当者にとって、非常に危険な状態と言えます。

信頼関係と友達関係の決定的な違い

では、顧客との「信頼関係」と「友達関係」は何が違うのでしょうか?
信頼関係とは、お互いのプロフェッショナリズムを尊重し、公正な取引を継続できる関係です。
製品の品質、納期、価格、アフターサービスなど、ビジネスの約束事を誠実に守ることで築かれます。

この関係では、顧客は御社の製品やサービスを信頼し、御社は顧客のビジネスの成功を真摯にサポートします。
もし顧客が無理な要求をしても、営業担当者は「申し訳ございませんが、弊社の規定によりそれはできかねます」と、
明確かつ丁寧に断ることができます。これは、単に「ノー」と言うのではなく、
「御社との健全なビジネス関係を維持するために、お約束は守らせていただきます」という
プロとしての姿勢を示す行為です。

一方、友達関係は、お互いの感情や個人的な事情が優先されがちです。ビジネスのルールよりも、
相手の「お願い」を優先してしまう可能性があります。これは、短期的な関係維持には役立つかもしれませんが、
長期的に見ると、御社のブランド価値や収益性を損なう原因となります。

「一線」を保つための具体的な行動指針

御社の営業担当者が顧客との健全な関係を築くために、以下の点を徹底するように指導してください。

1. 公私を分ける 個人的な連絡先を教えたり、業務時間外に頻繁に連絡を取り合ったりすることは極力避けるべきです。
特に、個人的な悩み相談に乗ったり、プライベートな付き合いに発展させたりすることは、
顧客と友達の境界を曖昧にします。

2. 丁寧な言葉遣いを維持する たとえ親しくなったとしても、常に丁寧語を使い、
プロフェッショナルな態度を崩さないことが重要です。タメ口で話すようになったり、
馴れ馴れしい言葉遣いになったりすると、相手もビジネス相手としてではなく、
個人的な関係として接してくるようになります。

3. ビジネスのルールを明確にする 値引きや支払期日など、ビジネスに関わる重要なルールは、
最初に明確に伝えておくことが大切です。これにより、後から無理な要求をされた際も、「最初に申し上げた通り、
弊社の規定ですので」と、毅然とした態度で断ることができます。

4. 必要以上のサービスはしない 顧客に喜んでもらいたいという気持ちから、
ついつい必要以上のサービスをしてしまうことがあります。例えば、通常は有料のサービスを無料で提供したり、
特別な対応をしたりすることです。しかし、これは顧客に「この会社は特別な対応をしてくれる」と期待させ、
次の無理な要求につながる可能性があります。

5. 誠実なコミュニケーションを心がける 顧客との信頼関係は、誠実なコミュニケーションによって築かれます。
約束したことは必ず守り、不可能なことは「できません」と正直に伝えることが大切です。この誠実さが、
長期的な信頼につながります。

「顧客」は「事業のパートナー」であるという視点

顧客を「友達」ではなく、「事業のパートナー」として捉えることが重要です。
パートナーは、お互いのビジネスの成功を目指して協力し合う関係です。御社の製品やサービスを通じて、
顧客の課題を解決し、事業の成長に貢献する。そして、その対価として適正な利益を得る。
これが健全なビジネスのあり方です。

御社の営業担当者は、ただ製品を売るだけではなく、顧客のビジネスを理解し、
その成長を支援する「コンサルタント」のような役割を担うべきです。
そのために必要なのは、親密さではなく、専門知識と誠実さ、そしてプロフェッショナルとしての自覚です。

まとめ

御社の営業担当者が顧客と健全な関係を築くことは、長期的な経営の安定に不可欠です。顧客と友達は違います。
ビジネスは、感情ではなく、信頼とプロフェッショナリズムに基づいています。

今日から、営業担当者には「顧客とは一線を保ち、事業のパートナーとして向き合うように」と伝えてみてください。
一見冷たい関係に思えるかもしれませんが、これが最も強固で、長期的に続く信頼関係を築くための秘訣です。

御社のビジネスが、これからも力強く成長していくことを心から願っています。


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