原油が上がっている。重油も上がっている。包材も上がっている。
背景には中東情勢もあります。
それでも取引先のバイヤーには「値上げは難しい」と言われる。
この状態でどうするか。
まず、現状を整理します。
食品会社のコストは、ここ数年で一気に上がっています。原材料だけではありません。包材、物流費、電気代、人件費。
そこに加えて、ボイラーや加熱で使う重油も上がっています。どれか一つではなく、ほぼすべてです。
例えば、冷凍品を扱っている会社であれば、電気代の上昇は直接利益に影響します。配送を外注している会社であれば、
燃料費の上昇はそのまま運賃に反映されます。加工品であれば、包材の値上げは避けられません。
こうしたコストは、努力では下げられないものが多いのが現実です。
1つ上がるだけならまだ吸収できますが、同時に上がると利益は一気に消えます。売上は変わっていないのに、
手元に残るお金だけが減っていく。この状態に入ると、会社の体力は確実に削られていきます。
問題は、コストが上がっていることではありません。
コストが上がっているのに、売値がそのままになっていることです。
この状態でよくあるのが、次の3つです。
1つ目は、値下げで対応する。
取引を切られたくないから、少しでも通そうとして価格を下げる。これは一番やってはいけません。
コストが上がっているのに売値を下げると、やればやるほど会社からお金がなくなります。
売上は立っているのに利益が出ない状態になります。
2つ目は、我慢する。
「今だけだから」と言い聞かせて、そのまま出し続ける。これも長くは続きません。最初は小さな赤字でも、
積み重なると取り返しがつかなくなります。気づいたときには、どの商品も利益が出ていないという状態になります。
3つ目は、取引先に合わせ続ける。
「うちはここしかないから」と言って条件を受け入れ続ける。結果として、交渉できない会社になります。
一度その関係になると、値上げの話を出すこと自体が難しくなります。
ではどうするか。
値段ではなく、取引条件をバイヤーと交渉して変えることです。
値上げが通らないとき、多くの社長は「価格」に集中します。実際には、価格以外にも調整できるものがあります。
例えば、
・ロットを変える(小ロットから大ロットへ)
・納品頻度を変える(回数を減らす)
・規格を見直す(内容量や仕様)
・物流条件を変える(運賃負担や納品方法)
これらを変更するだけで、利益は変わります。値段をそのままにしても、条件を変えれば実質的な利益は改善できます。
商品やパッケージの修正はすぐに対応できるわけではありません。
この点を考えないでバイヤーと価格だけで交渉すると、選択肢がなくなります。
ここで多くの社長が考えます。
「条件を変えたい」と思っても、どうバイヤーと交渉していいのか、わからないからです。
値上げのお願いではなく、条件の見直しとして話します。
「現状の条件では継続が難しいため、納品条件を見直したい」
この一言から入るだけで、交渉の前提が変わります。
もう一つやるべきことがあります。
売り先を変えることです。
今の取引先が「値上げは難しい」と言うのは、そのバイヤーの事情です。価格競争が前提の売り先であれば、
値上げが通らないのは当たり前です。そこで無理に通そうとしても限界があります。
実際に支援している会社でも、売り先を変えるだけで利益が出るようになったケースは多いです。
商品を変えたわけではありません。売る相手を変えただけです。
ただこの方法はすこし時間がかかります。
同じ商品でも、
・価格を最優先に見る売り先
・品質や特徴を評価する売り先
・ストーリーや背景を評価する売り先
では、扱いがまったく変わります。後者の売り先であれば、価格だけで判断されることはありません。
そしてもう一つ重要なのは、すべての取引先を同じに考えないことです。
利益が出ない取引を続けても、会社は守れません。
一部の取引を見直すことで、全体の利益が残ることはよくあります。
値上げが通らないときにやるべきことは、無理に通すことではありません。
値上げができる取引先に提案をすることです。
最後に一つだけ。
この状態で一番やってはいけないのは、「今のやり方を続けること」です。
コストが上がっているのに利益が出ない。
それでも同じ取引を続ける。
これは時間が経つほど悪くなります。資金繰りにも影響が出て、次の手が打てなくなります。
動くか、そのまま続けるか。
ここで会社の結果ははっきり分かれます。
そしてもう一つ。
判断を先送りしないことです。
「もう少し様子を見る」「来月考える」と言っている間に、利益は確実に削られていきます。
コストは待ってくれません。交渉もしなければ何も変わりません。
値上げができないなら、条件を変える。
それでも難しければ、売り先を変える。
やることは簡単です。
あとは、やるかどうかだけです。
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