売上が伸びないと、「営業が弱い」「社員のやる気が足りない」と考えてしまう社長は少なくありません。
もちろん、営業力や社員教育は大切です。一方で、食品会社の販路開拓を支援してきた経験から
売れない原因を社員だけに求めている会社ほど、状況が改善しにくい傾向があります。
会社の方向性を決めるのは社長です。
だからこそ、売れない理由も、まずは社長自身が経営者の視点で見つめ直すことが重要です。
■ 売上が伸びない原因は社員だけではない
営業担当者は、社長が決めた商品を、社長が決めた価格で、社長が決めた販路へ販売しています。
つまり、営業活動が始まる前に、多くの経営判断が行われています。
例えば、
・ターゲットは適切か
・商品の特徴は伝わっているか
・売る場所は合っているか
・価格設定は適正か
・バイヤーが求める商品になっているか
これらは社長が判断することです。
営業担当者が商談で苦戦している場合でも、その原因は営業力だけとは限りません。
価格が市場に合っていない、競合商品との差別化ができていない、パッケージが売場に適していない、
提案資料が十分ではない、あるいは販路そのものが自社の商品に合っていないこともあります。
営業担当者は、与えられた条件の中で成果を出そうと努力しています。
その条件を決めているのは経営者です。
社員だけに原因を求めるのではなく、「会社全体に改善点はないか」という視点を持つことが、
売上改善への第一歩になります。
■ バイヤーは営業担当者だけを見ているわけではない
食品会社の社長の中には、「営業担当者がもっと上手に説明すれば採用されたはずだ」と考える方もいます。
実際の商談では、バイヤーは営業担当者だけを見ているわけではありません。
商品の特徴は売場に合っているか。
価格は適正か。
利益が確保できる商品か。
他社商品との差別化はできているか。
継続して供給できる体制があるか。
商談では、このような点を総合的に判断しています。
営業担当者がどれだけ頑張っても、商品や提案内容に課題があれば採用される可能性は高くありません。
逆に、商品や提案内容が魅力的であれば、営業経験が少ない担当者でも商談が前向きに進むことがあります。
商談結果だけを見て社員を評価するのではなく、その背景まで考えることが社長には求められます。
■ 社長の仕事は営業ではなく経営判断
中小食品会社では、社長自ら営業活動を行うことも珍しくありません。
多くの食品会社を訪問してきましたが、商談会へ参加したり、バイヤーを訪問したりする社長を数多く見てきました。
社長だからこそ伝えられる思いや会社の理念があり、それが商談を前向きに進めることもあります。
ただ、社長が営業担当者として走り回る時間が増えすぎると、会社全体を見る時間が少なくなります。
社長が本来行うべき仕事は、
「何を、誰に、どこで売るのか」を判断することです。
さらに、
・どの商品に経営資源を集中するのか
・どの販路を優先するのか
・設備投資を行うべきか
・自社ブランドを強化するのかOEMを伸ばすのか
・どの市場を目指すのか
こうした判断も社長の重要な仕事です。
経営判断がぶれていれば、営業担当者が努力しても成果は安定しません。
社員の行動を変える前に、社長自身の判断を見直すことが必要です。
■ 社長が最初に見直すべきポイント
売上が伸びないときは、社員を責める前に、次の点を確認してみてください。
・商品はターゲットに合っているか
・売場に並びやすい商品仕様になっているか
・バイヤーが採用したくなる提案になっているか
・販路の選び方は適切か
・自社の強みが十分に伝わっているか
・価格は市場に合っているか
・競合商品との差別化はできているか
・営業資料やFCPシートは分かりやすいか
・営業担当者が提案しやすい環境になっているか
これらを一つずつ確認するだけでも、改善点が見えてきます。
売れない原因は一つではありません。
複数の小さな課題が積み重なり、結果として売上が伸び悩んでいるケースも多くあります。
社長が事実を整理し、優先順位を決めて改善を進めることが重要です。
■ 社長が変われば会社も変わる
社員は社長の姿勢をよく見ています。
社長が事実を冷静に分析し、自ら改善を進める会社では、社員も前向きに取り組みます。
結果が出ないたびに社員だけを責めている会社では、「どうせ何をやっても変わらない」という空気が生まれ、
挑戦する意欲も失われてしまいます。
食品業界は、原材料費や物流費の上昇、人手不足など、企業努力だけでは解決できない課題も増えています。
そのような時代だからこそ、感情ではなく事実をもとに判断し、会社全体を改善していく姿勢が求められます。
社長が変われば、社員の考え方も行動も変わります。
会社の文化も少しずつ変わり、その積み重ねが将来の売上や利益につながっていきます。
■ まとめ
売れない理由を社員だけの責任にしても、会社は変わりません。
社長が経営判断を見直すことで、営業活動も商品開発も販路開拓も変わります。
会社の成長を左右するのは、現場の努力だけではありません。
食品会社の社長には、「誰の責任か」を考えるより、「何を変えるべきか」を考える経営者であってほしいと思います。
売上が伸び悩んでいるときほど、社員を見るのではなく、自社の経営判断を見直してみてください。
その積み重ねが、会社の未来を変える大きな一歩になります。
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