採用したのに戦力にならない。小さい食品会社の現場でよくある悩みです。
よくある状況
人を採用できた。やっと現場に入ってもらえる。そう思ったのに、1週間経っても2週間経っても、仕事が回らない。
「何回教えても同じミスをする」
「動きが遅くて他の人の邪魔になっている」
「3ヶ月で辞めてしまった」
こういう話は、小さい食品会社では本当によくあります。採用に時間も費用もかかったのに、
結果として現場が苦労するだけで終わる。
なぜこうなるのかを先に整理して、それからどうするかを話します。
なぜそうなるか
一気に教えすぎている
初日から「これもやってもらわないと」「あれも覚えてほしい」と詰め込みすぎています。
教えた側は教えた気になるのですが、受けた側は何が大事かわかりません。全部がぼんやりした状態になって、
何一つ身につかない。
人によって教え方が違う
社長が教えるとき、ベテランパートが教えるとき、それぞれ言っていることが違う。
「社長はこう言ったけど、田中さんはああ言った」という状態が続くと、新人はどっちが正しいかわからなくなります。
迷った結果、自己流でやりはじめて、結局ミスが増える。
正解がわからない
「ちゃんとやれ」「もっと丁寧に」とは言われるのですが、何がちゃんとした状態なのかを誰も教えていない。
新人からすると、何をもって合格なのかがわからない。がんばっているつもりなのに怒られる、という状態になるので、
やる気がなくなっていきます。
どうするか
この3つをやるだけで、新人の動きは変わります。
仕事を1つに絞る
最初の3日間は、1つの作業だけをやらせてください。それだけです。
複数の仕事を同時に覚えさせるのをやめる。「最初の3日はこれだけ」と決める。1つができるようになったら次に移る。
この順番を守るだけで、全然変わります。
「それだと仕事が回らない」と思うかもしれませんが、何もできない人が複数の作業でミスをし続ける状態のほうが、
現場にとってはずっと負担です。1つに絞って確実にできる人を増やしていくほうが、結果として早く現場が楽になります。
作業手順を紙にする
口で説明するだけでは伝わりません。手順を紙に書いて、新人の手元に置かせてください。
内容はシンプルで十分です。「①これをする、②こうなったら次に進む、③終わったらここに置く」という流れを、
箇条書きで書く。A4の紙1枚で十分です。
これを作っておくと、誰が教えても同じことが伝わります。田中さんが教えても、鈴木さんが教えても、
紙に書いてあることが基準になるので、バラつきがなくなります。
良い状態と悪い状態を見せる
「ちゃんとやれ」では伝わりません。良い状態と悪い状態を、実物で見せてください。
たとえば、並べ方の作業なら、「これが合格の並べ方」「これは不合格」と現物を隣に置いて見せる。
言葉で説明するより、見せるほうが何倍も早く伝わります。
新人が判断に迷ったとき、自分で見て確認できる基準があると、いちいち聞きに来なくなります。
現場の声かけが減るだけで、全体の流れがずいぶんスムーズになります。
3日で判断する
3日間、1つの作業だけをやってもらって、できているかどうかを見てください。
3日やってできない場合、その作業が向いていない可能性があります。責めるのではなく、別の作業に変えてみる。
人によって向き不向きがあるので、作業を変えることで急にできるようになるケースは少なくありません。
3日で判断する理由は、それ以上待っても状況が変わりにくいからです。1週間様子を見てから動くのではなく、
3日で判断して早めに手を打つほうが、本人にとっても現場にとっても良い結果になります。
具体例:干物会社の現場で考える
干物を作る工場で、新人が入ったとします。
最初の3日間にやらせる作業を「魚を網に並べること」だけに絞ります。他のことは教えません。
手順を紙に書きます。
①魚の向きを揃えて並べる
②網の端から順番に置いていく
③隣の魚と間隔を空けすぎない
④並べ終わったら山田さんに声をかける
これをA4の紙に書いて、作業台のそばに貼っておきます。
良い状態と悪い状態を最初に見せます。「これが正しい間隔」「これは詰めすぎ」「これは空きすぎ」と
実物の魚を並べて見せる。写真を撮って紙に貼っておくとさらに伝わります。
3日後に確認します。間隔が揃っているか、向きが合っているか、スピードはどうかを見る。
できていれば次のステップに進む。裏返す作業を教える、乾燥の確認を教える、という順番で積み上げていきます。
できていない場合は、並べる以外の作業、たとえば完成品を箱に入れる作業に変えてみる。
それで動きが変わることがあります。
この流れで進めると、1ヶ月後には確実に1つの工程を担える人間になっています。
まとめ
新人が戦力にならないのは、本人の問題ではなく、やり方の問題であることがほとんどです。
やることは3つです。
・最初の3日は1つの作業だけに絞る
・手順を紙に書いて基準を揃える
・良い状態と悪い状態を実物で見せる
「教育をしっかりやろう」と考える必要はありません。新人を戦力にすることだけを考えてください。
戦力になるとは、1つの工程を一人でこなせるようになることです。そこだけを目標にして動くと、
やることがシンプルになります。
明日から、まず手順を紙に書くことだけ始めてみてください。それだけでも現場は変わります。
紙に書くことで社長や教育担当者も頭の整理になります。
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