FCPシートを書いても売れない食品会社の共通点|バイヤーが見ている6つのポイント

FCPシートを何度書いても、展示会に出展しても、一向に新規の取引が決まらない。バイヤーと名刺交換はできても、
その後の連絡が途絶えてしまう。こうした結果に悩む食品会社の社長は多く存在します。

私はこれまで、地方の食品会社向けに販路開拓の支援を行う現場で、数多くのFCPシートを見てきました。
ただ、シートを添削すると、ほぼ毎回これから紹介するような問題点が見つかります。

原因は、シートの書き方や内容が、バイヤーの求める基準に達していない点にあります。
バイヤーが取引の合否を判断する上で、実際にどこを確認しているのか。実務でよく見られる傾向をもとに、
見直すべきポイントを解説します。

空欄が多い

商談の場でバイヤーがシートを開いた際、まず確認されるのが各項目の記入状況です。特に製造工程や衛生管理、
供給体制といった、商品の味以外の項目に空欄が目立つシートがあります。

書かれていない項目がある状態は、バイヤーに「自社の管理体制や企業情報を把握していないのではないか」という
不信感を与える要因になります。私が支援する商談の現場では、バイヤーから「安全面や安定供給に関する情報が
確認できない商品は採用しにくい」という声を聞くことがあります。
トラブル時のリスク管理や生産キャパシティの提示は、取引を開始するための前提条件となるためです。

詳細がわからない項目があれば、すぐに製造現場や総務などと連携して事実を確認し、
正確な数字で埋める必要があります。すべての項目を誠実に埋めることが、信頼されるための最初の条件となります。

説明が一行だけで終わっている

各記入欄の文章が、たった一行で簡潔に終わっているシートも多く見られます。例えば、商品の特徴欄に
「地元の素材を使い、伝統の製法で仕上げました」とだけ記載されている状態です。

これでは、バイヤーが他社製品との違いを判断する際の根拠になりません。バイヤーは、その商品の何に価値があり、
どのような背景を持つ企業なのかを書類から読み取ります。なぜその原料を使用するのか、
その製法によってどのような味の違いや品質の安定性が生まれるのか。現場で行われている具体的な工夫や、
会社としての裏付けとなる事実が書き込まれていなければ、バイヤーを納得させ、採用へと動かすことはできません。

一言だけの説明では、商品の価値も企業の実績も正確に伝えることは困難です。必要な情報が過不足なく伝わる
具体的な記述が必要です。

商品名に工夫がない

バイヤーが最初に目にする項目でありながら、最も見落とされがちなのが「商品名」の書き方です。
単に「黒豆煮」や「トマトソース」といった、一般名詞だけをそのまま書いているシートが非常に多く存在します。

これでは、書類をめくっているバイヤーの目を止めることはできません。商品名は、その一行を読んだだけで
「どんな特徴があり、誰に向けた商品なのか」が一目で伝わるように工夫する必要があります。

例えば、ただの「トマトソース」ではなく、「完熟もぎたてトマトの無添加パスタソース」のように、
具体的な価値や製法、用途が伝わる言葉を商品名の欄に盛り込むことが大切です。
社内での呼び名や単なる一般名称をそのまま記入するのではなく、バイヤーが関心を持つような分かりやすい名称に
ブラッシュアップすることが、次の説明を読んでもらうための重要な鍵となります。

会社が言いたいことだけを書いている

自社の技術力の高さや、味への自信を前面に押し出したシートは非常に多く存在します。
ただ、バイヤーを納得させるために必要なのは、企業の主観的な自己アピールではなく、客観的な取引のメリットです。

バイヤーが書類を確認しながら判断しているのは、「この商品が自社の売場に並んだときに本当に売れるのか」
「現在の取扱商品と置き換えるだけの明確な理由があるのか」という点です。
どれだけ時間をかけて作った商品であっても、それが店舗の売上や顧客のメリット、あるいは取引企業としての
信頼性にどうつながるのかが説明されていなければ、採用には至りません。

主語を自社ではなく、売場や買い手に置き換えて内容を検討することが重要です。自社が伝えたい特徴や自社の概要が、
バイヤーの売上や顧客の満足にどう貢献できるのか、相手の利益につながる視点で記載する必要があります。

バイヤー視点になっていない

バイヤーは商談の席で、具体的な売場への導入計画を考えています。そのため、ターゲット層が「全年齢」と
なっていたり、向いている売場が「スーパー、百貨店などどこでも可能」と書かれている資料は、
バイヤーを納得させることが難しくなります。

ターゲットが曖昧な商品は、結果として誰にも売れない商品になりがちであることを、バイヤーは実務を通じて
知っているからです。また、価格帯と売場の客層が合致していなければ、商品の動きは期待できません。

商談の現場では、ターゲットの設定が広すぎて話が具体化しないケースを何度も見てきました。
「平日の夕方に買い物にくる主婦層向け」「地方のこだわり品を集めたコーナー向け」など、
具体的な活用シーンや配置される売場がイメージできる情報が必要です。競合商品と比較した際、
自社の商品がどの位置づけで強みを発揮するのかが明確であれば、バイヤーも導入の判断を下しやすくなります。

また、ケース入り数や最小ロット、納品単位など、実際の取引で必要となる情報が不足していると、
バイヤーは導入後の運用をイメージしにくくなります。

写真が不鮮明・暗い・縦横比がおかしい

FCPシートにおいて、写真は商品の第一印象を決める重要な要素であり、企業の姿勢を映し出す鏡でもあります。
それにもかかわらず、事務所の蛍光灯の下でスマートフォンを使って撮影したような、
暗い写真が掲載されているケースがあります。

また、画像のサイズ調整が不適切で、商品の縦横比が歪んで変形して見えているシートもあります。
写真の品質が低いと、バイヤーを納得させることができず、商品そのものの価値や企業の信頼度まで
低く見積もられてしまい、非常に不利になります。

食品を扱うプロとして、視覚的な情報は重要な判断材料です。明るい自然光を取り入れるなどして、
商品のパッケージや中身の色合い、質感が正確に伝わる写真を掲載することが基本となります。
盛り付け例や断面の写真を添えることで、バイヤーが取扱イメージを持ちやすくなります。

商品の特徴だけで終わっている

「美味しい」「原材料にこだわっている」という、商品の特徴を伝えるだけで終わっているシートが後を絶ちません。
食品メーカーが自社の商品を良いと言うのは当然であり、それだけでバイヤーを納得させ、
取り扱いが決まることはありません。

バイヤーが本当に必要としているのは、その特徴がもたらす「取引上のメリット」です。
例えば、年間を通じて価格が安定しているため定番の売場に導入しやすい、賞味期限が長いため店舗での廃棄ロスを
削減できる、といった実務的な利点です。

さらに、安定した供給体制や、万が一の際のトラブル対応など、会社概要に裏付けられた信頼性、
配置される定番の売場への導入、工程や販売をサポートする体制までシートに記載されていれば、
バイヤーは導入を決めやすくなります。
特徴を並べるだけでなく、相手のビジネスにどう貢献できるかまで踏み込んで書くことが求められます。

FCPシートは、提出を求められたから出すだけの事務書類ではありません。バイヤーに対して、自社の商品価値と
会社概要を同時に審査してもらうための大切な営業資料です。

「自社が言いたいこと」を一方的に詰め込むのをやめ、商品名の工夫から始めて、
「バイヤーが取引の可否を判断するために知りたいこと」に対して、現場の事実に基づいた情報を誠実に
記載することが大切です。

FCPシートは、一度作ったら終わりではありません。バイヤーの反応や商談内容を踏まえながら改善を繰り返すことで、
初めて「売れる営業資料」になります。

FCPシートは、自社だけで見直していると問題点に気付きにくいこともあります。
バイヤーの視点を取り入れながら改善を重ねることで、商談で伝わる営業資料へと変わっていきます。

手元にあるFCPシートを、「社長の視点」ではなく「バイヤーの視点」で一度見直してみてください。
その小さな改善の積み重ねが、商談の成果を大きく変える第一歩になります。


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