地方の食品メーカーの社長から、「展示会に出ても売場が増えない」「SNSもやっているのに問い合わせが
来ない」「マーケティングを学んでいるのに成果につながらない」という相談をいただくことがあります。
最近、あちこちの社長から「これからはWebやSNSを使いこなさないとダメだ」「最新のマーケティングを
学ばなきゃ」という声を本当によく耳にします。
セミナーに参加したり、話題のコンサルタントを呼んだりして、一生懸命勉強されている社長も
多いのではないでしょうか。
商品にはどこにも負けない自信がある。最新の売り方も学んだ。それなのに、なぜか売上が伸びない、
バイヤーとの商談がちっとも前に進まない……。そんな壁にぶつかっていませんか?
実は、百貨店や高級スーパー、専門店といったシビアな商談の現場を回っていると、
売れない原因が「マーケティング不足」ではないケースが驚くほどたくさんあります。
もっと手前にある、日々のちょっとした「営業のやり取り」で損をしている会社が本当に多いのです。
誤解していただきたくないのは、「マーケティングを学ぶな」と言いたいわけでは絶対にありません。
お伝えしたいのは、取り組む「順番が違う」ということです。
今回は、売り込みの現場でバイヤーが思わず頭を抱えてしまうリアルな実態と、今すぐ見直せるポイントを、
現場の目線でありのままにお伝えします。
セミナーで学んでも、なぜか成果が出ない会社の共通点
インスタグラムを毎日更新して、ホームページも格好よく作り変えた。それなのに、
まとまった取引に繋からない会社には、ある共通した「落とし穴」があります。
それは、「せっかく興味を持ってもらえた後の、バイヤーへの対応が遅かったり、雑だったりする」という点
です。
販路開拓の支援に入るとき、SNSのフォロワー数よりも先に見るのが、見積対応やサンプル送付の状況です。
どれだけ素晴らしい宣伝をして、たくさんのバイヤーに「この商品、気になるな」と思ってもらえても、
いざ具体的なビジネスの話になった途端、現場ではこのようなことが起きています。
- 「見積書をすぐ送ります」と言ったきり、3日も4日も連絡がない
- 届いたサンプルを開けたら、商品がバラバラ、なんの案内状も入っていなかったりする
- 展示会で名刺交換をして「後ほどご連絡します」と言ったまま、放置してしまっている
- バイヤーからの質問メールに、何日も気づかない
せっかくマーケティングという網でたくさんのお客さんやバイヤーの関心を集めても、
これではバケツの底に大きな穴が空いているようなものです。いくら新しい売り方を学んでも、
売上に繋がるはずがありません。
なぜ社長は基本対応よりマーケティングに興味を持つのか
ここで、胸に手を当てて考えてみていただきたいことがあります。
地域の勉強会やセミナーで、「SNS活用」「ブランディング」「最新のマーケティング戦略」と
いったテーマになると、熱心にメモを取り、目を輝かせる社長が非常に多いものです。
ところが、いざ「見積書の迅速な提出」や「サンプルの丁寧な梱包」といった営業の基本対応の話になると、
急に反応が薄くなったり、「それは現場の仕事だから」と聞き流してしまったりする傾向があります。
なぜ、社長は基本対応よりもマーケティングにばかり興味を持ってしまうのでしょうか。
理由は明確です。マーケティングやブランディングという言葉には、一発逆転の華やかな魅力があるからです。
取り組んでいるだけで、会社が新しく生まれ変わり、大きく前進しているような高揚感を得られます。
一方で、見積書を早く作るとか、メールにすぐ返信するといった業務は、極めて地味で泥臭い作業です。
社長からすれば「できていて当たり前」のことに見えますし、面白みがありません。
現実の商談現場でバイヤーが頭を抱え、結果として取引を断る原因になっているのは、
マーケティングの知識不足ではなく、圧倒的に後者の「基本対応の不備」です。
社長の関心が華やかな戦略ばかりに向いてしまい、足元の対応がおろそかになってしまうことが、
成果を妨げる要因の一つになっているケースも少なくありません。
バイヤーは商品の後ろにある「会社の対応力」を見ている
百貨店や高級スーパー、専門店のバイヤーは、一日に何十ものメーカーから売り込みを受けています。
そんな厳しい目を持つバイヤーが、新しい商品を仕入れるかどうか決めるとき、見ているのは「味」や
「見た目」だけではありません。
実際にバイヤーから直接、このような本音を聞くことがよくあります。 「商品はすごく魅力的で、
ストーリーもある。だけど、こちらの質問に対するレスポンスが遅すぎて、定番として継続取引をするには
不安が大きすぎるから見送った」
バイヤーが一番見ているのは、「この会社は、これから一緒に仕事をしていく上で信頼できるパートナーか
どうか」という、会社の対応力です。
1. 「FCPシート」で最初につまずいていませんか?
食品の商談で必ず求められるのが「FCP商談会シート」です。 展示会や商談会の場でバイヤーから
「FCPシートをメールで送ってください」と言われたとき、パソコンを開いてすぐに送れる状態に
なっているでしょうか。
「これから作ります」「古いデータのままです」となってしまうと、バイヤーはその時点で
一歩引いてしまいます。アレルギーや製造工程がしっかり書かれたこのシートは、食品会社としての
信頼の証明書とも言える資料だからです。
2. 「連絡の遅さ」は、そのまま「不安」に変わる
バイヤーは、次の売り場作りやイベントの計画など、常に時間に追われています。
「見積もりを大急ぎでほしい」と言われているのに、社内の調整が遅れて返事を引き延ばしてしまう。
あるいは、サンプルをいつ発送したのか伝えない。こうした小さな「遅れ」が重なると、
バイヤーはこう不安になります。 「この会社、実際に注文を出しても、納期を守ってくれないんじゃないか」
「もし商品にトラブルがあったとき、ちゃんと対応してくれないかも……」
どんなにSNSで話題の商品でも、日々のやり取りがスムーズにできない会社の商品を、
リスクを冒してまでお店で扱おうとは思いません。
まずやること:マーケティングの前に整えたい5つの基本
何度も言いますが、マーケティングやSNSがダメだということでは絶対にありません。
御社の商品を知ってもらうために、Webの活用はとても大切な武器になります。
ただ、取り組む順番が逆になっていませんか?ということです。 高い広告費を払ったり、
難しいマーケティング理論を勉強したりする前に、まずは以下の5つの基本をきっちり整える。
実はこれが、一番お金がかからなくて、一番早く成果が出る方法です。
① 連絡があったら「24時間以内」にまずは一言返す
見積もりを出すのに時間がかかるなら、黙って待たせるのは一番のNGです。
「お問い合わせありがとうございます。ただいま社内で調整しておりまして、
〇月〇日の午前中までにお見積もりをお送りいたします」と、まずは一言返信する。
これだけで、バイヤーはものすごく安心します。
② 全商品のFCPシートを最新にしておく
原材料やパッケージが変わったときはもちろん、何も変わっていなくても、いつでもすぐに送れるように、
最新のFCPシートをパソコンの分かりやすい場所に整理しておきます。
③ サンプル送付は「大切なプレゼント」として送る
段ボールにただ商品を詰めて送るだけでは、気持ちが伝わりません。
- 商品のこだわりや、おすすめの食べ方を書いたお手紙
- バイヤー向けの提案書(どんなお客さんにいくらで売ってほしいか)
- 「賞味期限は〇月〇日までです」と書いた付箋
これらをきれいに同封し、配送中に箱の中でガタガタ動かないよう、緩衝材を丁寧に詰めて送ります。
届いた箱を開けた瞬間の印象が、そのまま御社の印象になります。
④ 展示会のあとは、自分から1週間以内に追いかける
展示会や商談会が終わったあと、相手からの連絡を待っていませんか?名刺をいただいたら、
こちらからすぐにお礼のメールを入れます。「先日はありがとうございました。
会場でお話ししたサンプルをお送りしたいのですが、よろしいでしょうか」と、こちらから次のステップを
提案していくことが大切です。
⑤ メールの確認や返答の「社内ルール」を決める
小さな会社ほど、事務作業が特定のスタッフ任せになりがちです。「その人が休んでいるから分からない」を
なくすために、「メールは朝と夕方に必ずチェックする」「見積もりは頼まれてから2日以内に送る」といった、
最低限のルールを作って全員で共有しておきます。
まとめ:小さな会社こそ、やり取りの「丁寧さと早さ」が最大の武器になる
地方の小さな食品メーカーが、大企業と同じように大金をかけて広告を打ったり、
派手なマーケティング合戦をしたりするのは、なかなか難しいのが現実です。
でも、「連絡をどこよりも早く返す」「サンプルをどこよりも丁寧に送る」「約束をきっちり守る」と
いうことなら、会社の規模に関係なく、今すぐ大企業に勝つことができます。
バイヤーも一人の人間です。どれだけ有名な商品でも、連絡が遅くてイライラする会社とは仕事を
続けたくありません。逆に、今はまだ無名の商品でも、こちらの質問に一生懸命、
すぐに対応してくれる会社なら、「応援したいな」「一緒にこの商品を売っていこう」という
気持ちになるものです。
「売れないのは知名度がないからだ」「マーケティングが足りないからだ」と悩む前に、
まずは日々のバイヤーとのやり取りを、もう一度見直してみませんか?その地道な見直しこそが、
新しい販路を切り開く一番の近道になります。
全国の食品メーカーの販路開拓支援を行う中で、商品力よりも先に対応力の改善が成果につながった事例を
数多く見てきました。
もし、「展示会に出ても成果が出ない」「商談後のフォローに課題を感じている」「バイヤーとのやり取りを
見直したい」という場合は、お気軽にご相談ください。
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