食品メーカーが新しい販路を開拓する際、バイヤーとの商談で重要な役割を果たすのがFCPシートです。
食品展示会や商談会では、多くの食品メーカーがFCPシートを使って商品を提案しています。
ところが、実際に作成された資料を見ると、商品の特徴が十分に伝わらなかったり、
必要な情報が不足していたりすることがあります。さらに気になるのが、Excelのセルに入力した文字が途中で
切れていることです。
パソコンの画面では問題なく読めていても、PDFに変換すると文章の一部が表示されなくなる場合があります。
誤字脱字が残っている資料も見受けられます。
こうした問題は、FCPシートに限ったことではありません。商品提案書、見積書、会社案内など、
取引先に提出する営業資料でも起こります。
どれほど良い商品であっても、資料が読みにくければ、バイヤーに商品の特徴を十分に伝えることはできません。
今回は、FCPシートを作成する目的から、バイヤーに伝わる書き方、提出前に確認すべきポイントまで解説します。
FCPシートを作成する目的とは
FCPシートは、食品メーカーが自社商品の情報を整理し、バイヤーに伝えるための商談用資料です。
FCPは「Food Communication Project」の略称で、食品事業者と関係者の間で情報を共有し、相互理解を進める取り組みです。
その中で活用されているのが、FCP展示会・商談会シートです。
FCPシートを作成する目的は、単に商品の情報を記入することではありません。バイヤーが商品を理解し、
取り扱うかどうかを検討するために必要な情報を、正確かつ分かりやすく伝えることです。
食品メーカーは、自社商品の良さを伝えようとします。原材料へのこだわり、製造方法、開発の経緯、地域の特色など、
伝えたいことは数多くあるでしょう。もちろん、これらの情報は大切です。
ただし、バイヤーが知りたいのは商品の特徴だけではありません。自社の売場に合う商品なのか、
どのようなお客様が購入するのか、価格は適切なのか、安定して供給できるのか。こうした点も取引を検討するうえで重要です。
FCPシートは、食品メーカーが伝えたい情報と、バイヤーが知りたい情報を整理するための資料でもあります。
バイヤーはFCPシートのどこを見ているのか
バイヤーが商品を検討する際には、さまざまな情報を確認します。まず、商品の基本情報です。
商品名、内容量、価格、賞味期限、保存方法などは、取引を検討するために欠かせません。
特に食品の場合、賞味期限や保存温度によって、取り扱える店舗や販売方法が変わることがあります。
また、商品の特徴や他社商品との違いも重要です。
同じような商品が売場に並んでいる場合、なぜその商品を新たに取り扱う必要があるのか、バイヤーは検討します。
そのため、単に「こだわりの商品です」「厳選した原材料を使用しています」と記載するだけでは、
商品の違いが伝わりにくいことがあります。
どのような原材料を使用し、どのような製法で作り、どのような特徴があるのか。具体的に説明することが大切です。
さらに、販売実績も判断材料になります。すでにどのような店舗で販売されているのか、
どのようなお客様に購入されているのか。実績があれば、事実に基づいて記載しましょう。
ただし、販売実績が少ないからといって、無理に数字を大きく見せる必要はありません。
大切なのは、正確な情報を伝えることです。
FCPシートは記入欄を埋めれば完成ではない
FCPシートを作成する際、すべての記入欄を埋めることに意識が向いてしまう場合があります。
もちろん、必要な項目を漏れなく記入することは重要です。ただし、記入欄を埋めること自体が目的になってはいけません。
例えば、商品の特徴を説明する欄に、開発の経緯や製造者の思いを長々と記載しているケースがあります。
書いてある内容が間違っていなくても、バイヤーが知りたい情報を見つけにくければ、読みやすい資料とはいえません。
バイヤーは日々、多くの商品提案を受けています。一つの商品について、資料を何度も読み返してくれるとは限りません。
そのため、伝えたい内容を整理し、簡潔に記載することが必要です。
商品の特徴を説明する際には、具体的な事実を優先しましょう。また、専門用語や社内でしか使わない表現にも注意が必要です。
食品メーカーでは当たり前に使っている言葉でも、バイヤーには分かりにくい場合があります。
FCPシートは、作成した人が理解できる資料ではなく、受け取った人が理解できる資料にすることが重要です。
Excelのセル内で文字が切れていないか
FCPシートを作成する際、特に注意したいのがExcelのセル内の文字切れです。
このケースが多いので社長はよく読んでください。
Excelでは、セルに入力した文章がすべて表示されているとは限りません。
例えば、商品の特徴を説明する欄に長い文章を入力した場合、セルの高さが足りず、文章の最後が隠れてしまうことがあります。
入力した本人は文章全体を理解しているため、文字が途中で切れていても気づかないことがあります。
また、Excelの数式バーでは文章全体を確認できるため、セルの中にもすべて表示されていると思い込んでしまう場合があります。
特に注意したいのが、複数のセルを結合している場合です。Excelでは、結合セルの内容に合わせて行の高さが
自動調整されない場合があります。「折り返して全体を表示する」を設定していても、行の高さが足りなければ文章の一部が
隠れることがあります。
作成後は、すべてのセルで文章が最後まで表示されているか確認しましょう。必要に応じて行の高さや列幅を調整し、
文字が隠れていない状態にします。
文字を無理に小さくして収めることは避けたいところです。すべての文章が表示されていても、
文字が小さすぎて読みにくければ意味がありません。
Excelで読めてもPDFにすると文字が切れる
ExcelでFCPシートを完成させた後、PDFに変換してバイヤーに送付することがあります。ここでも注意が必要です。
Excelの画面では問題なく表示されていた文章が、PDFに変換すると途中で切れてしまう場合があります。
原因としては、セルの高さや文字の折り返し設定、結合セル、印刷設定などが考えられます。
また、ページの設定によっては、表の一部が次のページに移動したり、全体が縮小されて文字が
読みにくくなったりすることもあります。
Excelで問題なく表示されているからといって、PDFでも同じように表示されるとは限りません。
Excelで読めても、提出するPDFで読めなければ、営業資料としては未完成です。
PDFに変換する前には、Excelの印刷プレビューで全体を確認しましょう。さらに、PDFに変換した後も、
必ず完成したファイルを開いて確認することが必要です。
商品の特徴を説明する文章が最後まで表示されているか。価格や賞味期限などの数字が正しく読めるか。
表が途中で切れていないか。文字が小さすぎないか。これらを確認します。
できれば、実際に印刷して確認することをお勧めします。パソコンの画面では問題なく見えていても、
印刷すると読みにくい場合があるためです。
FCPシートの誤字脱字は必ず確認する
文字切れと同じくらい注意したいのが、誤字脱字です。FCPシートに限らず、取引先に提出する営業資料は、
誤字脱字がないことを確認するのが基本です。
特に食品の場合、商品名、原材料、内容量、価格、賞味期限、保存方法など、正確に記載しなければならない情報が
数多くあります。
例えば、内容量が100gの商品なのに、資料には120gと記載されていたらどうでしょうか。
また、賞味期限や保存温度が実際の商品と異なっていれば、取引先との確認作業が必要になります。
こうした間違いは、単なる誤字脱字では済まない場合があります。商品規格書や実際の商品表示と照合し、
記載内容に間違いがないか確認することが重要です。
数字の入力間違いにも注意しましょう。特に価格や内容量、入数などは、数字が一つ違うだけで取引条件が変わってしまいます。
資料を作成した本人だけでなく、可能であれば別の人にも確認してもらうとよいでしょう。自分で作成した文章は、
内容を理解しているため、間違いを見落としやすいものです。
読みにくいFCPシートはバイヤーの心証を悪くする
FCPシートの文字が切れていたり、誤字脱字が多かったりすると、バイヤーはどのような印象を持つでしょうか。
もちろん、小さな間違いが一つあっただけで、必ず取引を断られるわけではありません。
ただし、基本的な間違いのある資料を提出することは、良い印象につながりません。
バイヤーは、商品の品質や価格だけでなく、取引先として安心して付き合える会社かどうかも確認しています。
商品情報を正確に伝えられるか。依頼した資料をきちんと提出できるか。細かな確認を怠らず、仕事を進められるか。
こうした日常的な対応も、取引先としての信頼に関わります。
特に新規取引では、バイヤーは食品メーカーについて十分な情報を持っていません。
そのため、提出された資料や商談時の対応が、会社に対する印象を左右することがあります。
文字が切れた資料を提出すれば、「提出前に確認していないのだろうか」と思われるかもしれません。
誤字脱字が多ければ、「商品情報の管理は大丈夫だろうか」と不安を持たれる可能性もあります。
せっかく良い商品を作っていても、営業資料の不備によって印象を悪くするのは、非常にもったいないことです。
FCPシートを提出する前の最終チェック
FCPシートを作成したら、提出前に次の項目を確認しましょう。
- 商品名、内容量、価格、賞味期限、保存方法は正確か
- 商品の特徴が具体的に説明されているか
- バイヤーが知りたい情報が整理されているか
- Excelのセル内で文字が切れていないか
- PDFに変換しても文章が最後まで表示されているか
- 文字が小さすぎず、読みやすい状態になっているか
- 誤字脱字や数字の入力間違いがないか
- 印刷した場合にも必要な情報が読めるか
大切なのは、Excelで入力を終えた段階ではなく、バイヤーに提出するファイルの状態で最終確認することです。
商談会の前日は、商品サンプルや説明の準備などで忙しくなることもあるでしょう。そのようなときでも、
資料の確認を省略してはいけません。
提出前のわずかな確認で防げる間違いは、できる限り防いでおきたいものです。
まとめ|FCPシートはバイヤーのために作る
FCPシートを作成する目的は、記入欄を埋めることでも、商品の良さを一方的に説明することでもありません。
バイヤーが商品を理解し、取り扱いを検討するために必要な情報を伝えることです。
そのためには、商品の特徴や取引条件を正確に記載するとともに、読みやすい資料に仕上げる必要があります。
特にExcelで作成する場合は、セル内の文字切れに注意しましょう。また、PDFに変換した後も、
文章や数字が正しく表示されているか確認することが欠かせません。
誤字脱字のチェックも、営業資料を提出するうえで当然の作業です。資料の見た目を必要以上に飾ることよりも、
正確で読みやすく、必要な情報がきちんと伝わることを優先しましょう。
FCPシートは、食品メーカーのためだけに作る資料ではありません。バイヤーが取引を検討しやすいように作る資料です。
その基本を忘れず、一つひとつの項目を丁寧に確認することが、信頼される取引先になるための第一歩です。
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