食品の販路開拓専門家・伊藤晴敏です。
「小規模事業者持続化補助金を使いたいが、何からやればいいのか分からない」
「申請はしたが、その後どう動けばいいのか分からない」
食品会社の社長から、この相談はかなり多いです。
補助金は申請がゴールではありません。 使い切って売上につなげるまでが仕事です。
この記事では、申請から活用までの流れを、実務の順番で整理します。食品会社特有のつまずきポイントも含めて、
具体的に書きます。
小規模事業者持続化補助金とは|食品会社が使える内容
日本商工会議所と商工会が運用している補助金で、小さい会社が販路開拓に使える制度です。
食品会社が小規模事業者持続化補助金を使う場合、展示会出展・営業資料作成・業務用商品開発といった
販路開拓に関わる費用が対象になります。
補助額は50万円から200万円程度。補助率は2/3が基本です。つまり、150万円の事業に使った場合、
100万円が戻ってくる計算になります。
ここで重要なのは、後払いだという点です。
いったん自社で支払い、その後に補助される仕組みです。資金繰りを見ておかないと、途中で大変になります。
「採択されたから大丈夫」と思って動き始めた結果、手元資金が底をついたというケースは少なくありません。
採択前に、一時的に立て替えられる金額を確認しておくことが必要です。
また、補助対象となる経費には定められた範囲があります。広告費、展示会出展費、新商品開発に関わる設備費などが
対象になりますが、人件費や交際費は対象外です。申請前に何が使えて何が使えないかを確認しておくことが重要です。
申請から活用までの流れ|ここを外すと失敗する
まず全体像を押さえます。
① 売り先を決める ② 申請内容を作る ③ 申請する ④ 採択後に実行する ⑤ 報告して補助金を受け取る
この順番です。
多くの会社は①が抜けています。ここが抜けると、その後すべてズレます。
補助金を使ってどうするかです。
補助金を「とりあえずもらえるもの」として捉えると失敗します。補助金はあくまで手段であり、
目的は売上を上げることです。その逆算が、①から始まります。
売り先を決める|補助金活用の前提
ここが一番重要です。
どの売場に置くのか、どの価格帯で売るのか、誰が買うのか。これを決めます。
例えば、百貨店の食品売場なのか、高級スーパーなのか、業務用なのかでやることはまったく変わります。
百貨店であれば、パッケージや見た目の高級感、ギフト対応が重要になります。高級スーパーであれば、
素材の産地や製法の明確な訴求が求められます。業務用であれば、価格の安定性、発注の容易さ、
規格の統一が優先されます。
売り先によって、商品設計も、営業のやり方も、必要な資料も変わります。ここが決まらないまま申請すると、
補助金の使い道がぼやけます。結果として、「ホームページを作って終わり」「パンフレットを印刷して終わり」になります。
見た目だけが整って、売上につながらないという典型的な失敗です。
申請書の書き方|通すためではなく使うために書く
申請書はきれいに書くことが目的ではありません。売り先に対して何をやるかを書くことです。
展示会に出てバイヤーと商談する、業務用サイズの商品を開発する、営業資料を作る。こういう内容にします。
「ブランド強化」「認知向上」のような曖昧な表現は弱いです。審査する側には、その言葉が実際の行動として見えません。具体的な行動と、それによって何が変わるのかを書くことが重要です。
例えば「展示会に出展し、バイヤー10社と商談する。そのうち2社と取引を開始し、月商30万円の新規売上を目指す」
というように、数字と行動をセットで書くと説得力が出ます。
また、申請書に書いた内容は、採択後の実行計画にそのまま直結します。書いた内容しか補助対象になりません。
後から「やっぱりこちらに使いたい」と変更するのは手続きが発生します。申請の段階から、実際にやる内容を正確に
書いておくことが重要です。
③ 申請する
申請は商工会や商工会議所と一緒に進めます。担当者と面談しながら申請書を整えていく形が基本です。
ここでの注意点は、通すための内容に寄せすぎないことです。審査に通ることだけを考えると、
実際に使いにくい計画になります。あくまで実際にやる内容をそのまま書くことが重要です。
審査では、計画の実現可能性と、事業の将来性が見られます。「なぜこの販路なのか」「なぜこの商品なのか」という理由が
明確であれば、採択の可能性は上がります。採択率を意識するよりも、自社の事業をそのまま丁寧に説明することに
集中してください。
採択後の動き|ここで結果が分かれる
採択された後が本番です。ここで動ける会社と動けない会社で、結果が分かれます。
展示会に出る場合は、事前にバイヤーを絞り、アポを取り、当日の話す内容を決めておきます。
展示会当日に「来てくれた人と話す」だけでは結果は出ません。事前に「この会社のこの担当者と話す」まで
決めておくことが必要です。
商品も調整します。サイズや価格、使い方をバイヤーに合わせます。消費者向けの商品をそのまま持ち込んでも、
業務用バイヤーには刺さりません。相手が使いやすい形に変えておくことが前提です。
営業資料は見た目ではなく、判断材料として作ります。価格、規格、導入メリット、納期、最低発注数量を明確にします。
バイヤーが社内で稟議を通すために必要な情報を、一枚で確認できるようにしておくと動きが早くなります。
可能であればテスト販売も行います。実際の売場で売ってみることで、売れる数量や価格が見えてきます。
テスト販売の結果は、次の商談での根拠になります。「この売場で月○個売れた」という実績は、
バイヤーへの説得材料として非常に有効です。
⑤ 実績報告と入金
すべての実行と支払いが終わった後に報告を出します。領収書や証憑が必要になります。ここで不備があると補助金が
出ません。
よくある不備は、領収書の宛名が違う、経費の内訳が不明確、申請内容と実際にやったことがずれているという3つです。
実行中から書類を整理しておくことが重要です。「終わってからまとめよう」と思っていると、後で確認が取れない経費が
出てきます。
報告書を提出した後、審査を経て補助金が入金されます。入金までに数ヶ月かかることもあります。資金繰りの計画には、
この期間も含めておいてください。
よくある失敗
申請で満足して止まる、作って終わる、計画だけで実行できない。この3つが多いです。
補助金を受け取ることが目的になってしまうと、採択後の動きが止まります。採択はスタートです。
そこから実際に売上につなげるまでが、補助金活用の本来の意味です。
また、「補助金があるから試しにやってみよう」という姿勢も危険です。補助金がなくてもやるべき販路開拓を、
補助金を使って加速させるという考え方が正しい使い方です。補助金ありきで計画を立てると、
補助金がなくなった後に続きません。
結論
小規模事業者持続化補助金は使えます。ただし条件があります。売り先が決まっていることです。
申請の前にやることは1つです。繰り返しになりますが誰に売るかを決めることです。
ここが決まれば、申請内容も具体的になります。採択後の動きも明確になります。補助金は売上につながります。
売り先が決まっていない状態で申請しても、使い道が定まらず、結果として補助金を消化するだけで終わります。
順番を間違えないことが重要です。
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